ビジネス向けスマートフォン BlackBerry
BlackBerryは欧米のビジネスパーソンから強い支持を受けているスマートフォンだ。国内ではNTTドコモが法人ユーザーに加え、個人ユーザー向けのサービスも提供し始めた。大幅に機能を拡充した新モデル「BlackBerry Bold」も発売が予定されている。
BlackBerry
「BlackBerry」は、カナダのResearch In Motion(RIM)社が開発、製造しているスマートフォンである。コンパクトなボディにQWERTYキーボードを備え、プッシュ型のメール配信サービスのほか、WordやExcelなどの閲覧や、アドレス帳/スケジュールなどの同期機能、Webブラウザー、音声通話などの機能が備わっている。欧米のビジネスマンに広く利用され、スマートフォンの代名詞といえる製品だ。 日本国内ではNTTドコモが2006年から法人向けに販売していたが、iPhone 3Gの登場によりスマートフォン市場がにわかに活性化してきたことを受け、2008 年8月から中小法人・個人向けにも販売が開始された。
もともとBlackBerryは、専用サーバーと双方向ページャー(日本のポケベルに相当)のインフラを使ったメールシステムとして開発され、発展してきた製品である。その発展の過程で、電波を使った通信インフラに携帯電話のネットワークを利用することになっただけだ。基本的に専用サーバーを使うという構成は一緒で、BlackBerryはこのシステムの専用端末ということに変わりない。
国内では、専用サーバーを用意できない個人ユーザーや中小企業ユーザーの獲得を目指して、インターネットを利用できるようにした「ブラックベリーインターネットサービス」が提供されることとなった。そのための専用端末が「BlackBerry 8707h」である。ブラックベリーインターネットサービスとブラックベリーエンタープライズソリューションのイメージは図の通りである。
セキュアなメッセージングシステムがBlackBerryの強みだが、それはNTTドコモのBlackBerry基幹システムから、企業内ネットワーク内に設置されているBlackBerry EnterpriseServerに接続することで実現されている。BlackBerry Enterprise ServerはMicrosoft ExchangeやIBM Lotus Dominoなどのグループウェアと連携するとともに、NTTドコモのパケット通信網を経由した通信にRIM 独自の秘匿技術を用いてIP接続する。このため、セキュアなメッセージングシステムが実現されているのである。
個人向けのブラックベリーインターネットサービスでは、NTTドコモのBlackBerry基幹システムからISPへ接続するので、企業内ネットワークに設置している専用サーバーがなくてもインターネットが利用できるという仕組みになっている。
BlackBerryが広く企業ユーザーに利用されているのは、RIMの秘匿技術を用いたセキュアな通信が行なえる点にあるが、やはり端末の使いやすさも重要な要素である。続いてはBlackBerryの端末について見ていこう。
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