4位:デジタルハブ 2.0
4位では私が「デジタルハブ 2.0」と呼んでいる、数あるiPhone用アプリケーションから見つけたひとつの傾向について紹介したい。
今から5年も前、2003年のApple Design Awardを受賞した「Salling Clicker」というソフトがある。携帯電話業界の人で、このソフトを知らない人は、ぜひ調べてみてほしい(Windowsにも対応してくれる)。このソフトは私に大きなインスピレーションを与えてくれた。「やがて携帯電話は、あらゆるものを操作するリモコンになるんだ」と。
実際、iPhoneを見てみてもリモコンは、「Apple TV」などをコントロールするアップル純正アプリ「Remote」だけに留まらない。
「Piano Force」と呼ばれる自動演奏機能付きピアノをコントロールするアプリケーション、KeynoteやPowerPointのスライドをめくったり、カンペを表示したり、重要箇所をハイライトできるプレゼンテーション用ソフトの「Stage Hand」や「Pointer Remote for PowerPoint and Keynote」、「MythTV」と呼ばれるLinuxベースのテレビパソコンを操るリモコンなど実に多彩なラインアップが揃っている。
中にはガレージの開け閉めから、部屋の温度調整、AV機器の音量調整まで一括して操作できる「ILoveControl」というアプリケーションもある。「IRTrans」という250ユーロのイーサネット接続型赤外線アダプターを使って操作をするのだ。
ここでは「デジタルハブ」とは何かまで踏み入って紹介しない(興味がある方は、こちらの2001年の記事を読んで欲しい。こうしたアプリケーションを通して、iPhoneが身の回りにあるあらゆるデジタル機器をつなぐハブになりつつあるのを感じている。
もっとも、こうした携帯電話のハブ化に注目しているのはアップルだけではない。Yahoo! JAPANとシャープの2社もいろいろな試みをしてきた。この話は松村太郎氏との対談の中でも触れたので詳細はそちらに譲る。
ちなみにシャープのCEATECのデモでは、テレビの「AQUOS」で見て気に入った観光地情報を携帯電話でブックマークし、その携帯電話をカーナビと連携させて観光地に移動。さらにそこで携帯電話を使って撮った写真をGPSに絡めて投稿、テレビ上の地図で見る、といったシナリオまで紹介されていた(関連記事)。
こうしたことを実現するには、ハードの技術だけでなく、ソフトの技術も必要だが、日本のメーカーにはそれがない。そんなメーカーにとって、Yahoo! JAPANやGoogleがOSとなるサービスを提供してくれるんじゃないかと思っている。
