番外編1:世界進出
IT技術ではないが、今年、もうひとつ注目したいトレンドとして「海外進出」を取り上げたい。
今年は多くの日本人IT起業家が世界を目指した年であり、何人かのヒーローが登場した年でもある。一番のヒーローは、iPhone用アプリケーション「Pocket Guitar」を開発した笠谷真也氏(iTunes Storeで見る)。これは世界62カ国の人が利用するiPhoneアプリケーション販売のApp Storeで、かなり長い期間1位に君臨した。当然、iTunesが選ぶ2008年のベストアプリケーションの中にも名を連ねている。YouTubeで「Pocket Guitar」で検索をかけると世界中の人が、このアプリで楽しんでいる動画を発見できる。
実は彼以外にも世界を目指しているiPhoneアプリ開発者は大勢いる。そこで1月7日、Macworld Expoの最中に、日本のiPhone開発者が米国のメディアを集めて、自慢のアプリケーションを紹介する、というイベントを企画した(Joi Ito Labの山崎富美さんと日米のSix Apart社の協力を得たおかげで、実現できる運びになった)。これが第2の「Pocket Guitar」を生み出すきっかけになればいいと思う。
日本のIT系ベンチャーの世界進出という点では、今年の春、「未踏のシリコンバレーツアー」にも同行した(関連記事その1、その2、その3、その4)。端で見ていて正直ハラハラしていた部分もあるが、グーグルのエンジニア達も、感心していた様子で安心した。
クリエーターの世界進出も視野に入ってきた。日本最大のデザイナー、イラストレーター、映像及びそのほかすべてのクリエイターのポータルサイト「ロフトワーク」は、登録クリエイターは9月22日、登録クリエイターが1万人を超えたことを祝ってパーティーを開催した。その席で取締役の林千晶さんと矢橋友宏氏は「To the world」「今後はこのクリエイターの輪を世界に向けて広げていきたい」と語っていたのも印象的だ。
ちなみにこの林千晶さんには、本当にいろいろな場所で遭遇したり、名前を目にした。今年のIT業界やクリエイティブ業界で、最も貢献した女性の1人に選ばれてしかるべき、という印象を持っている。
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