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林信行が語る「2008年、知っておくべき10のトレンド」(前編)

2008年12月30日 18時24分更新

文● 林信行

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7位:ソーシャルメディア・マーケティング

 今年、どこからともなく使われるようになり、広がっていったバズワードのナンバー1は「ソーシャルメディア」だろう。

 私はバズワードは決して悪いことではないと思っている。説明コストを大幅に下げてくれるからだ。例えば、筆者が今年言い続けてきた「Web 2.0 in your pocket」という言葉にしても、バズワードを避けるとなると、「Google登場後、増えてきたユーザー投稿などを通して充実する情報を提供しているCGM系サイトやAJAXなどを使ったちょっとかっこいいデザインのウェブサイトのすべて in your pocket」などと面倒な説明になってしまう。

 ソーシャルメディアは、ブログ、ソーシャルネットワーク(SNS)、口コミサイトといったコミュニティーを形成するタイプのサービスにつけられた名前だ。去年まではWeb 2.0系サービスのひとつとして、「CGM」(Consumer Generated Media)や「UGM」(User Generated Media)などと呼ばれていた。

 mixiを始め、今年SNSは多くのサイトが「OpenID」に対応してきた(関連記事)。来年以降は、SNSそのものをプラットフォーム化するグーグルの「Open Social」にも対応していくだろう(関連記事)。

 私はmixiが一般向けサービスを開始した直後くらいから、「mixiを基盤にeコマースサイトなどが作れるように、mixiのAPIを公開して欲しい」などと訴えてきたこともあり、この動きには非常に注目をしているし、ぜひとも成功して欲しいと思っている。今年は、私にとって、それまで1日1回だったmixiのアクセスが、1、2週間に1回に減った年だけに(原因はtwitterへの移行)、これがきっかけで再びmixiを使うようになれば嬉しい。

グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略

グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略

 さて、ソーシャルメディアと言えば、今年はこれを、いかにマーケティングに使うかにも大きな注目を集めた。話題となったのは、米フォレスターリサーチのアナリストが書いた「グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略」(翔泳社)だ(Amazon.co.jpで見る)。筆者も同社のアナリスト、Jeremiah Owyang氏の来日公演を取材しZDNetで記事を書いている

 上の記事で書いた、フォレスターが提唱するマーケティング戦略の手法「POST」は特別なことではない。本来の目的を見失わず、まずは情報の受け手に忠実であれ、ということだ。

 それで言えば、年末近くなってWOMマーケティング協議会設立準備会が発足したのも注目すべきニュースだ(2009年春の法人化を目指している)。

WOMマーケティング協議会設立準備会

WOMマーケティング協議会設立準備会のウェブサイト

 2008年は前年に続き、影響力のあるアルファブロガーが注目を集めた年だった。既存メディアとは別に、ブロガーを呼んで新製品発表会をする企業も、さらに増えている。しかし、それなりに読者も多く、影響力のあるブロガーが、商品などの見返りをもらった上で、そうとは思わせない記事を書くようになってくると、結局、長期的に見てブログというメディアをダメにしてしまう恐れもある。

 WOMマーケティング協議会は、そうならないように、もう1度、ブロガーの方々に、ブログマーケティングはどうあるべきかを考えてもらうべききっかけを与える存在になればいいと思う(筆者も賛同人に名を連ねさせてもらった)。

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