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実写で見る「D3X」──EOS-1DsMk3と比較

2008年12月30日 23時57分更新

文● 三浦健司/写真家

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高画素化時代の課題


 デジタル一眼レフは、ニコンD3Xが参戦したことにより、本格的な高画素時代に突入することになるでしょう。そのため今回のテストは、今後も展開されるであろう高画素化するデジタル一眼レフに、どのような性能が求められかを見たものです。

 600万や1000万画素では問題にならない問題も2000万画素をオーバーするあたりから顕著に現れるからです。とりわけ倍率色収差は、画像の解像力はもちろんのことコントラストや発色にまで悪影響を及ぼす大敵です。したがってこの問題を放置したままでは、いくら高画素化を図っても撮影画像が乱れ像となりません。極論すれば、写ってなければいくら高画素化しても緻密な画像が得られず、像として意味がないと言えるのではないのでしょうか。

 D300、D700、D3を始めとするニコンのデジタル一眼レフは、すでにこの倍率色収差を解決する機能を搭載してますが、2400万画素ともなると次元が異なり、開発にも手間がかかったと想像されます。しかし、手間のかかったぶん、D3Xの仕上がりは格別で、ニコンが高画素時代をいかに生き抜くかを明確に提示していると言えるでしょう。

 さらに今回テストに使用したナノクリスタルコートを施した新設計レンズも、高画素時代を生き抜く必須アイテムです。

AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G ED

 ナノクリスタルコートは、ナノレベルの半導体配線を精緻に描き分けるために開発した、ステッパー用レンズのコーティング技術を一眼レフ用レンズに投入したものです。レンズの内面反射を押さえ被写体を精緻に描き分ける分解能があってこそ、2000万を越える高画素が生かされるというものです。

 むろんこのほかにも高画素時代には、乗り越えなくてはならない問題が山積してますが、どのメーカーもカメラ設計における初期のミスが、後々、取り返しの問題として立ちはだかるのは事実です。今回とりあげた倍率色収差もその一つでしょう。

 このような意味からD3Xは、フェーズワンなどの中判デジタルカメラに匹敵する画質を備えた唯一のカメラと言えるでしょう。機動性に目を転じればD3Xに軍配が上がることは明白で、中判デジタルカメラは敵ではありません。さらに交換レンズの豊富さや、クリエイティブライティングなどアクセサリの充実も大きな優位性をもっており、写真表現の可能性を広げてくれます。

 画質では、今回テストに使用した画像は「JPEGの撮って出し」ですが、RAW画像をCapture NX2で現像するとワンランク上の画像を得られます。この画像は2000~3000画素クラスの中判デジタルカメラの使命を終焉に向かわせることでしょう。まさにニコンD3X恐るべしです。

 これでD3Xレポートを終わりますが、機会がありましたらフェーズワンP30プラス(3000万画素)と撮り比べたレポートをしたいと思っております。ありがとうございました。

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