このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第15回

ソニーが送るNetbookキラー? VAIO type P解体天国(前編)

2009年01月08日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

薄型化にこだわるも「キーボード」重視
キーボードパネルはたった3.6mm

「キーボードパネル自身の厚みは3.6mm程度。それでも剛性が高い理由は、筐体のフレームと一体化させているため」(東ヶ崎氏)

 Netbookや他のモバイルノートとの差別化から、宿命的に「小型/軽量化」を求められることになったtype P。このサイズが実現できた理由は、独自の実装技術によるところが多い。type Pの機構設計を担当した東ヶ崎氏は、「試作モックアップがあったことが、非常に役にたった」と話す。3Dプリンターによるモックアップは外形だけでなく、内部の空間までしっかり再現するからだ。

 中でも東ヶ崎氏がこだわったのは、キーボードのタッチ感だ。コンセプトとして、type Pは「キーボードの良さ」が重要である。小さくなったからといって、タッチ感が悪くなってはなんの意味もない。

 筆者が試してみた限り、type Pのキーボードはかなり「優秀」だ。小型であるのにしっかりとした剛性があり、意外なほど「押し下げる」感覚がある。しかし、分解してパーツを見ると分かるように、キーボードはきわめて薄いものだ。

type Pのキーボードパネル。厚さは4mmもない

type Pのキーボードパネル。厚さは4mmもない程度だが、意外な剛性感がある

東ヶ崎「キーストロークは1.2mmしかありません。その中で最適なフィーリングになるよう調整を行なっています。キーボードパネル自身の厚みは、3.6mm程度です。それでも剛性が高い理由は、スライド機構でとりつけて、筐体のフレームと一体化させているためですね」

キーボードパネルのあった下にあるのが、マグネシウム合金製のフレーム

キーボードパネルのあった下にあるのが、マグネシウム合金製のフレーム。これにより薄くても剛性のあるキーボードを実現している

鈴木「薄く作らないといけないのですが、そうすると強度がなくなりフィーリングが悪くなります。クリック感をいかに出せるか、が課題でしたね」

 こだわりを重ねたtype Pだが、ソフトウエア面にもさまざまな工夫が行なわれている。そこからは、ソニーがtype Pで狙う「用途」や「ユーザー層」が見えてくる。その辺りについては、後編にて解説することとしよう。

VAIO type P VGN-P80H/Wの主なスペック
CPU Atom Z520(1.33GHz)
メモリー DDR2-533 2GB
グラフィックス Intel SCH US15Wチップセット内蔵
ディスプレー 8型ワイド 1600×768ドット
HDD 60GB
光学ドライブ 搭載せず
テレビ機能 搭載せず
無線通信機能 FOMA HIGH-SPEED対応ワイヤレスWAN、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR
カードスロット メモリースティックDuo(PRO-HG対応)、SDメモリーカードスロット
インターフェース USB 2.0×2、ヘッドホン出力
サイズ 幅245×奥行き120×高さ19.8mm
質量 約636g
バッテリー駆動時間 約4.5時間(JEITA測定法 1.0)
OS Windows Vista Home Basic SP1
予想実売価格 10万円前後
VGN-P70H の主なスペック
テレビ機能 ワンセグチューナー内蔵
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR
質量 約634g
予想実売価格 10万円前後
それ以外の主な仕様はVGN-P80H/Wと同等

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)。1月13日に「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新聞出版)が刊行予定。


■関連サイト

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン