さて、前回に引き続き、ジャーナリストの林 信行氏と「ケータイが語る、ミクロな魅力」でおなじみの松村太郎氏が2009年のケータイ事情に迫る。
世界で通用するアプリを作れる開発者
松村 日本のiPhoneアプリの開発者は、世界と日本の規模の違いを実感しています。日本のアプリダウンロードの1位より、世界の25位の方が数が多い、と話す開発者がいます。また100円のアプリが世界で10万本売れたらどれだけスゴイかというと、数字の上でも明らかなんですよね。
iPhoneに限ったとしても全く違う規模感を体験できますし、これがiPhoneに限らないモバイルサービスだとしたら、さらに大きな差があることに気付くはずです。それだけに、世界で10億台端末を売ってきたノキアが日本を撤退してしまうのは、残念ですね。
林 ノキアの人たちは悔しいでしょうね。日本で海外のケータイが売れないと言われてきたところで、iPhoneがその壁をぶちこわしてくれた。HTCもどんどん出てきてたし、心のバリアが崩れたところだったので、これから、という時期だったんじゃないでしょうか。
松村 出ない端末の話をしてもしょうがないのですが、特に2008年の秋冬端末で新しく登場させる予定だった「Nokia E71」はフルキーボードを搭載していて、仕事のONモードとプライベートのOFFのモードを切り替えられる機能があった。生活を豊かにしていきましょう、というコンセプトを持っていた端末でした。使いやすいし、インパクトあるいい端末だったと思うのですが。
林 デザインもカッコイイしね。
松村 せっかくドコモのPROシリーズに「Nokia E71」としてラインアップされていて、メーカーのブランドを押し出してもいいよ、という変化が見られたのに、出なくなってしまったのは心理的な後退があるな、と思ってしまいます。
林 逆に日本のメーカーにはチャンス、と感じてやってもらいたいと思いますが。