2009年のiPhoneの行く末
松村 2008年末に絵文字に対応し、ソフトバンクモバイルから登場する「TV & バッテリー」によってワンセグにも対応するiPhoneですが、2009年のiPhoneにはどのようなニュースが待ち受けているのでしょうか。
林 一時期のiPodのように頻繁なモデルチェンジはしないと思います。しかし、iPhoneのプラットホームとしての価値を前面に出していく戦略を取るでしょう。2009年にはライバルのAndroidも登場してきて、よりスマートフォンの市場で価値が引き立つのではないでしょうか。
iPhoneを世界中の人が持つだとか、Androidが半分以上シェアを取るというのは気持ちの悪い状態で、どんなに多くても50人に1人とかそういうレベルでしょう。ただ、ライバルによって引き立ち、iPhoneやAndroid普及の次のフェイズに行くのでしょう。
松村 世の中のニーズや使われているスタイルが一緒に付いてこないと、一段と普及が進む次の局面には入らない、ということですね。
林 来年の目玉は引き続きNetbookとiPhone・Androidに代表されるスマートフォンでしょう。ただし、Netbookはサスペンド状態から起こして、イー・モバイルやb-mobileなどのモジュールを挿さなければ使えない。iPhoneのように服のポケットからさっと出して使えた方がいいし、長いドキュメントを書く必要があったら、「ゴメン、家に帰ってからやる」と言った方が人間らしい生活ができるんじゃないか、と思います。僕はNetbookよりもスマートフォンに勝って欲しい、と思っていますけれど。
松村 ただNetbookは市場での支持が強いですね。パソコン市場を引っ張るくらいの力があるのが事実ですね。HPやレノボ、NEC、ソニーといったノートPCで定評があるメーカーが次々に参入してきています。
特に日本のメーカーだと、例えばFOMAカードが入ってそのまま通信できるNetbookは、もっと可能性があると思いますし、面白いんじゃないでしょうか。来年以降、WiMAXや次世代PHS、さらにその先のLTEが控えていますから。
林 Netbookは、作るからには安価なパソコンでなければいけないのだ、というコンセンサスができつつあるようにも見えます。それをやっていると、消耗戦になってしまう。一方iPhoneやAndroidは作っていっても利益をきちんと確保できる。どちらがやりたいか、といわれると後者じゃないかと思います。
松村 結果的に、NetbookとiPhoneやAndroidって同じくらいの価格帯になってきましたよね。パソコンは値段が下がってきた。ケータイは実際の販売価格で行けば上がってきたかキープ。体力勝負だとしたらケータイの方が強いのではないかと思いますね。
林 僕はキーボード仕事が結構あるから、MacBook Airを持っているけれど、実はiPhoneで済ませてしまう仕事も多いです。最近だとiPhoneからVNCで自宅のMacにつないで、デスクトップを表示させることもできるんです。これはなかなか便利ですよ。
松村 ソフトウエアとネットワークの組み合わせはかなり生活を変えていく、進化していく、という流れはこれからさらに強そうですね。