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林 信行 × 松村太郎 徹底対談

2009年のケータイはこうなる、こう変わる!【前編】

2008年12月29日 09時00分更新

文● トレンド編集部

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オープン化と新技術で混沌とする数年間の始まり

林 今年のIT業界のモバイル以外のもう1つのトレンドは、OpenIDなどに象徴されるオープン化の流れです。ちょうど2007年にascii.jpに書いた記事でも触れたOpenIDがようやく盛り上がってきました(関連記事)。ソーシャルメディアがサービスの壁を越えて利用できる世界観がやってきます。これとWeb 2.0 in Your Pocketとを組み合わせると、どういう世界がやってくるのだろう、とイマジネーションが広がりますね。

OpenID

“OpenID”のトップページ。日本企業では2007年にライブドア、2008年からはYahoo! JAPANもOpenIDを発行している

松村 そういう情報を生成する側と、活用する側が、うまく連携し始めるのが2009年になるのでしょうか。

林 いや、数年間は混沌とするのではないかと思います。2008年はとりあえずOpenIDを採用するサービスが増えてきて、2009年はそのサービスが様々な取り組みをするでしょう。

 いろいろな実験もあると思います。そして2009年の後半頃になると、この方向は正しい、違っている等のサービスレベルでのカオスというか、葛藤が出てくる。その一方で2009年はiPhoneやAndroidなどのポケットサイズでフル液晶の携帯端末がいいのか、キーボードがいいのか、Netbookがいいのか、端末レベルのチョイスがある。さらに通信もWiMAXがいいのか、EV-DO Rev.Bなのか、HSUPAなのか、技術系でも争いがある。

松村 サービス、端末、通信など、様々なレイヤーで三つどもえの戦いが起きる、2009年は戦国時代ですね。すると、どの組み合わせがいいのか、何通りも選択肢があって、なかなかコンセンサスを得るまでに時間がかかりそうですね。

林 もうちょっと先を見ると2010年頃にはLTEもある。だからこそ、来年はすごく冒険をしなければならない年でしょう。僕がメーカーの方を相手に講演をする時、5年後、7年後の世界観をブレストして話します。どの方式が正解か、という答えはまだないと思うんです。どこかの会社の、どこかの会議室で足の引っ張り合いをするのではなく、みんなの意見を集めてどうやれば可能か、ポジティブにやっていく必要があります。

 日本のメーカーにもいろいろな仕掛けをして、冒険して欲しいと思うし、自分の会社が世界から見てどんなキャラクターで、そのキャラを引き立たせるためには5年後にどうなるべきか考える必要があります。そこからサービスや端末を作るわけです。

松村 5年後の資産になるような冒険をしておかなければならない、というわけですね。それってどんなモノだと思いますか?

林 今のケータイって、5年後にはデジタルハブになる。ケータイでテレビのリモコンになったり、エアコンだったりするわけです。例えば、アメリカならiPhoneアプリの「ILoveControl」を使うと、ガレージの開け閉め、エアコン、AV機器まで全部操作できる。仕組みはIRTransという機械にEthernetを差し込むだけ。ケータイを押さえることは、家電全部を押さえることに近くなってきています。

松村 そうですね、生活リモコンとしてのケータイの姿は見え始めてきました。

林 自分たちの世界観に引き込んでいけるように製品やサービスを冒険する必要があるし、1社では限界があるので、自分たちでイニシアティブを持ってパートナーシップを取っていかなければなりません。日本の企業がちょっと苦手な役回りかもしれませんが。

松村 でも少しずつ状況は変わってきていると思います。日本のメーカーで海外を見ていないところはなくりましたし、オープンな規格への理解も高くなってきた。だから、やはり実験的なモノが出せるかどうかがキーになりそうですね。モノづくりの現場から揺り動かしていけるかどうかが、ケータイやそれ以外のサービスも含めて、世界的な動きに乗れるか乗れないか、そういう動きを作れるかどうかを決めていくということですね。

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