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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第55回

「じぶん銀行」で考える“手のひら”バンキング

2009年01月10日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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アクティブな個人金融の入り口として

 「じぶん銀行は2011年3月に240万口座、取り扱い預金高1兆円を目指しています。今後、フルバンキングサービスのご提供ができるよう、順次サービスを拡大していきます。忙しい都市生活者だけでなく、地方にいるユーザーもケータイさえあれば生活に寄り添った充実したマネーサービスが受けられるようになっていければと考えています」(勝木氏)

渋谷駅前、ハチ公口の三菱東京UFJ銀行のATMスペースに開設されたじぶん銀行。auの端末やコンテンツの展示があり、一番奥にじぶん銀行のカウンターがある

 現在ATMは親会社である三菱東京UFJ銀行と、コンビニで24時間利用可能なセブン銀行、全国津々浦々までのネットワークを持つゆうちょ銀行が利用できる。これまでの都市銀行や地方銀行に加え、ケータイを取引チャネルとしたもう1つの金融サービスを提供してくれる存在となる。やはり武器は、一度口座にお金を入れれば、自分のお金は自分で常にチェック可能な「手のひらにある銀行サービス」である。

カウンターでは、ケータイと申込書が用意してあり、口座開設までを案内してくれる

 これまでKDDIが発行してきたクレジットカード「KDDI THE CARD」を「auじぶんcard」に移行した。auじぶんcardの引き落とし口座をじぶん銀行に設定すると、ポイントのキャッシュバックができる。今後はじぶん通帳アプリから支払額の照会などのサービスも予定しており、「じぶん」ブランドへの囲い込みも行なっている。

 「お客さまにとって、自分のお金の動きを最終的に把握する手段になれば、と考えています。こうした起点を作ると、様々なアイデアが生まれてきます。今後は、カードローンや外貨取引、保険商品、株取引など既存の金融商品をケータイで使いやすく提供し、ざまざまなパートナーと提携していくことで、これまでにないアクティブな金融サービスのエントランスとして作り上げていきたいと思います」(勝木氏)

 つまり、手のひらの上のケータイが、いつでも操作可能な窓口になっているのだ。サービスが身近になってくる分、商品説明やリスク対策、端末での生体認証を含めたセキュリティ向上など、課題がさらに出てくるかもしれない。もちろんぬかりなく対策を施してくるだろう。

 ATMや窓口で並んだり、コールセンターにつながるまで延々と待ったり……。今まで金融サービスを受けるまでの無駄な時間が無くなった個人が中心の金融サービスの到来である。うまく生かすかどうかで、マネーライフやライフスタイルが大きく変わるのではないだろうか。年初に考えてみる価値があると思う。


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筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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