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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第55回

「じぶん銀行」で考える“手のひら”バンキング

2009年01月10日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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ちょっと進んだモバイル金融サービス

 ケータイだけで本人確認が済んでしまうのも、ケータイに高画素数のカメラが搭載されたからこそ。しかし、じぶん銀行の金融サービスとしての未来感はこれだけではない。

 例えば、auのケータイを使っているじぶん銀行の口座開設者間であれば、ケータイ番号と相手の名前の頭カナ2文字だけで振り込みが可能だ。しかも、振り込み手数料はかからない。これまでの、銀行名や支店名、口座種別、口座番号、口座名義といった情報は必要ないのだ。経営企画本部 経営戦略部の齋藤 歩氏は、利用シーンをこう説明する。

ケータイ番号と相手の名前だけで簡単に振込める機能は画期的だ

もちろん支払いメモなどを残すことも可能

 「例えば仲間内の飲み会での割り勘精算の場面などでとても便利です。幹事が一括で払ったとき、お札や小銭をじゃらじゃらと回収してお財布がぱんぱんになることは誰でも経験していると思います。そんな時に、手数料がかからなくて便利なサービスなので、たくさんのお客さまに喜んでご利用いただけると確信しています」(齋藤氏)

勝木氏(右)と齋藤氏(左)。じぶん銀行の社員は71名(2008年9月末時点)で、中途採用、三菱東京UFJ銀行からの出向、KDDIからの出向と、それぞれ約1/3ずつで構成されているそうだ

 この「ケータイ番号振込」というサービスは、無料の「au情報リンクサービス」に登録していれば、自分のケータイの電話帳から振込先を指定できる。また、じぶん銀行間、三菱東京UFJ銀行の口座間でも振込手数料がかからないため、便利な利用方法がたくさんありそうだ。そして20文字までのコメントを付けられる点も日常的に使う金融サービスとして新しい。

 冒頭の「貯蓄」の話にもつながるかもしれないが、通帳記入をしに行かなくても、常に最新の口座残高をケータイで確認できる点はありがたい。じぶん銀行のアプリには、貯金計画や支払いメモなど、自分のお金を管理する機能が搭載されている。

 サイフの中を覗けば、今いくらあるかわかるのは当たり前だが、ケータイで銀行口座も同じようにいつでも覗けるようにして、長期・短期問わず、自分でマネープランを立てられるアフォーダンスを持っている点が、今までのサイフよりも進化している点ではないだろうか。

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