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世界企業パナソニック 90年目の決断 第12回

日本企業は世界でどう戦うべきか?

EM-WINで新興国市場を攻略するパナソニック

2008年12月17日 12時55分更新

文● 大河原克行

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グローバルエクセレンスへの試金石

CES

CESのパナソニックブース

 もちろん、社名変更、ブランド統一は、グローバルエクセレンスに向けた重要な試金石となる。

 海外では、2003年5月以降、パナソニックというブランドに一本化されているため、今回の社名変更、ブランド統一では、メリットがないとの指摘が一部にある。

 だが、大月均常務取締役はこんな事例を示す。

 「チェコやドイツに大規模工場を建設した際にも、松下電器が建設したとの表記となり、パナソニックブランドが浸透している欧州では、その認知効果が弱かったという体験をしている。海外では、多くの国で、『マツシタ』という発音がしにくく、『マチュシタ』と呼ばれる。これがパナソニックに変わるだけでも、海外における印象はずいぶん違う」と異口同音に語る。

 今回の社名変更では、短期的な課題として、輸入申請時に社名が異なることで、商品の輸入が滞り、市場在庫が不足する事態が懸念された。

 「非常に複雑な書類もあるため、事前から入念な対策を取った。結果として、社名変更をまたぐ期間中の輸出入についても問題が起こることなく、在庫不足は起こらなかった」という。

 一方で、グローバルの社員の気持ちを一丸とする意味でも社名変更の意味は大きい。

 「社名変更によって、ドメイン、職能、国内外を越えて、モノづくりに邁進することができる。一秒の努力、一滴の汗を無駄にすることになくパナソニックに結集できる」と、大坪社長は語る。

 今後、グローバル体制でのワンパナソニックとしてのモノづくりや、マーケティングの成果がどんな形で出てくるのかが注目されよう。

 「社名変更」という本社主導の大きな仕事は完了し、これからは、部門での成果が求められることになる。

 とくに、海外事業は、GP3で掲げた成長戦略において、原動力となる部門だ。

 「EM-WIN商品をしっかりと育て上げ、各国でのシェアにもこだわっていきたい。成長に向けた地盤は整った」と、海外事業の躍進に向けた大月常務の鼻息は荒い。

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