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開発者マルティン・カルテンブルネルに聞く

ビョークも使った新感覚楽器「reacTable」に触れろ

2008年12月13日 09時00分更新

文● 遠竹智寿子

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気になる内部の仕組みを紹介、「reacTableもどき」の作り方も

―― 「reacTable」の仕組みはどうなっているのですか。

マルティン ハードウェア的な部分で言えば、丸いテーブル、カメラ(赤外線カメラ)、プロジェクターを使ったマルチタッチインターフェースを応用しています。カメラとプロジェクターはテーブルの中に設置されています。

 演奏者は卓上に置かれたブロック型のオブジェを動かすのですが、シンセサイザーのジェネレーター、フィルター、モジュレーターの役目を果たします。オブジェと演奏者の指の動きをカメラが捕らえ、電子サウンドとなって流れます。

左側が内部構造。クリアボード上に置かれたオブジェクトの裏に描かれたウニウニした2次元コード(右)の位置と傾きをCCDカメラが検出。独自ソフト「reacTIVision」が解析し、信号として出力する。その際、プロジェクターがエフェクト投影する


―― オブジェ側はどうなっているのですか。

オブジェに描かれた2次元コード。アメーバのようですね

マルティン オブジェは、形が特有の機能をあらわしています。またテーブル表面に触れる部分には(バーコードの役目をする)アメーバのようなマークが印字されています。これは、コンピュータシステム側でオブジェの種類と場所や位置関係を特定するためのものです。

 シンセサイザーの機能としてもっとも重要な役割を果たす「サウンドジェネレーター」の「正方形ブロック」、「サウンドエフェクト」が「角の丸い四角のブロック」、「コントロールジェネレーター」が「円形のブロック」となっています。

 これらをテーブル上に置くことで音が発生し、ブロック同士の距離を変えたり、回転させたり、テーブル上を指でなでたりすることで音階、音量、音響、テンポなどが変化する仕組みです。

 この3つの主要シェイプに加え、4つのセカンダリー機能(ステップシーケンサー、シンクロナイザープログラマー、グローバルフィードバック、グローバルコントロール)を持つシェイプがあります。これらの中には、全部のオブジェクトに影響を及ぼすものもあります。

 また、テーブル上に映し出される光の映像に関しても、単なるデザインというわけではなく、機能的な意味を含んだものとなっています。つまり音の状態や動きが映像に反映されているのです。ビョークのライブ会場ではテーブルの様子を真上から映し出して、そのグラフィックスがパフォーマンスの一つとして披露されました。


―― 認識するプログラミング部分はどのようなソフトを使っているのですか。

マルティン 私たちが開発した「reacTable」用の認識ソフト「reacTIVision」を使用しています。オープンソースで公開していますので、ダウンロードしていただいて、ハード的なシステムを作り込めばreacTableに似せたマルチタッチシンセを手作りできます。すでにいくつかの「reacTable Like(リアクテーブルもどき) 」の作品がYouTubeなどで紹介されています。

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