絵文字に親和性のあるSMSインターフェース
iPhoneのSMSは絵文字が入ったことでさらに楽しく使うことができそうだ。MacのiChatと同じような画面の左右のサイドから吹き出しで表示されるインターフェースに、絵文字入りのショートメッセージはとても親和性が高い。このSMSのインターフェースも、日本のケータイにはなかった。
ソフトバンクモバイルの他の端末ではSMSとS!メール(@付きのアドレスで受信するメール)は区別されず、同じ時系列のメールボックスに入る。一方、iPhoneのSMSは、相手ごとにメッセージがまとめられたチャットログのインターフェースになっている。そのため、より手軽でかつ、話題を見失いにくいコミュニケーションが可能になっている。
昨今ソフトバンクは「新デザイン絵文字」を搭載し始めているが、iPhoneは新デザイン絵文字に近いものの、旧絵文字と間を取るようなデザインの絵文字を搭載している。顔の表情の絵文字は新デザインに近い一方で、矢印や動物などは旧絵文字に近い。またiPhoneならではのカスタマイズとして、パソコンはiMac、テレビはiPhone上のYouTubeアイコン、ケータイはiPhoneそのものにデザインが変更されている。
絵文字の利用範囲拡大を
せっかく楽しい絵文字体験がiPhoneに入ってくると思いきや、日本語の環境でも、絵文字キーボードが有効となる場面は限られる。SMSとメールに設定したEメール(i)アカウントのみで有効なのだ。つまりMobileMeやGmailなどのメールアカウントでは絵文字を入力することすらできない。Gmailは日本のケータイの絵文字に対応しているのにもかかわらず、だ。これは非常に残念な対応である。
さらに、「Eメール(i)」から送信するメールについても、ソフトバンクのケータイで受信する場合はキチンと表示されるが、ドコモやauなどのケータイで受信すると文字化け(ソフトバンクの企業ロゴに似た文字)として受信されるため、現段階では実用的ではない。OSレベルでの絵文字対応を果たしておきながら、活用範囲は非常に制限されているのだ。せめて流通しないであろうメモで絵文字が使えたら、と思うのだが、絵文字もEメールで送信する機能があるのでダメなのだろう。
ということで、絵文字に関してお願いしたいのは、2点だ。
まずソフトバンクモバイルのEメール(i)のサーバ側の機能として、絵文字の互換性を確保する対応をして欲しいということ。これは既に他社も含めてケータイメールの絵文字互換性が実現されているため、さほど時間がかからず対応できるのではないか、と思う。
またAppleには、iPhone全般的に絵文字が活用可能にして欲しいという点をお願いしたい。例えばSMSやEメール(i)以外のメールアカウントで絵文字が入力されたらデコメ絵文字のようにHTMLメールに画像ファイルをインラインで配置する変換をしてくれれば、HTMLメールが受けられるメーラーではキチンと表示されるはずだ。
そうすれば、ソフトバンク以外のケータイでも、パソコンでも、絵文字入りのメールを楽しむことができる。次はパソコン側の絵文字対応をどうするか、という問題はあるが、Gmail等は既に絵文字対応をしているので、うまくネット上での絵文字普及が進んでくれると面白そうだ。
日本の絵文字デザインがiPhoneが販売されている全ての国で同じ意味をなすか? と言われると微妙なところだ。でも、だからこそ今回の絵文字対応は「日本語」のキーボードなのかもしれない。他の国のスタンダードな絵文字が搭載されてもいいのではないだろうか。他国での絵文字カルチャーを作るきっかけが生まれると、iPhoneに日本の絵文字が搭載された点は非常に意味があるだろう。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。
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