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低価格な2拠点間光通信開始。ソフトイーサの新事業「HardEther」

2008年11月25日 14時00分更新

文● 二瓶 朗

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HardEther低価格の秘密

 ダークファイバを借りるとはいえ、なぜ低価格でサービスを提供できるのか。その点を登さんに問うてみた。

 すると登さんは、「他社で同サービスをするならば、もっとコストがかかるだろう。しかし我々ソフトイーサはさまざまな技術を自社で持っているから、半額でできる」と答えた。

 大手サービスは月額料金も高額だが、拠点間通信のための端末装置も高額であるという。以前は300万円を超えるのも普通だったが、近年はWDM(Wavelength Division Multiplexing)技術によって、終端装置も低価格化が進んでいるという。登さんは「それでも54万円程度はする。我々は独自に終端装置を組み立て、低コスト化に成功したため、その半額程度で提供できると思っている」と言う。

終端装置

契約者の部屋に入る終端装置。ソフトイーサが自社開発をした

終端装置の中身

終端装置の中身は、PCサーバがベースとなっている

 この終端装置がHardEtherサービスのキモとなる。終端装置自体は同社で開発された、PCサーバをベースにしたもの。各種ハードウェアの手配やパーツの追加など、実際の制作も(現状では)社内で行なわれている。詳細は明らかにできないそうだが、この終端装置に、同社のPacketiX VPNの技術が使われている。こうして終端装置の低価格化を推し進め、最終的にはサービス低価格化を実現した。なお、回線監視システムなどもソフトウェアとしてこの終端装置に組み込まれるという。

 また、低価格化を実現した要因の1つに、ソフトウェアによる事務処理の自動化があるという。「拠点間の距離と使えるダークファイバの選出、工事料金の算出など、人手がかかりそうな部分を、サプライチェーンのような専用アプリケーションを開発して半自動化しようとしている」と登さん。加入申し込みも、基本的にWebからと代理店経由にすることで、同社の事務的な手間を軽減してコストダウンにつなげる。

 「いろいろなベンチャー企業があるが、ハードに詳しい会社はソフトが苦手だったり、実際に作ってみても値段が高くなる傾向にある。弊社はプログラムを書くのは遊びでやっているようなものなので(笑)。ソフト開発のコストはほとんどゼロと言ってもいい」と登さんは言う。

HardEtherはソフトイーサの事業骨となる

 HardEtherはソフトイーサ社においてどのような位置を占めるのか。

 登さんは、「1年ほどHardEtherの準備をしてきたが、これまでの売り上げの約1/4の利益を投入してきた。サービス自体の利益は、PacketiX VPNを1本販売するのと変わらないぐらいだが、月額料金を継続的にいただけるので、それなりの収益となる。2009年度には50回線を目指し、社内体制を強化しながら、次年度以降は500回線を目指す」と言う。

 また、「このサービスの提供によって、弊社の売り上げは増えていくと予想している。また“公共の福祉のため”という観点からも、これまで同様のサービスが高額だったために使えなかった人々に対して意義のあること」と主張。

 最後に登さんは、「我々と同規模の会社が、このHardEtherと同じ事業ができるか? といえば、それは難しいのではないか。ある程度の現金投資が必要だし、利益回収までの期間の運用費といったリスクがある。安定した会社であれば別の収入があるから難しくはないかもしれないが、そういった企業は冒険はしない。ある程度安定してきて、おもしろいビジネスをしたいベンチャーが手がけるべきだと考えている。それがまさに弊社、ソフトイーサだ。今後の展開に期待してほしい」と、このHardEther事業への意気込みを語った。

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