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低価格な2拠点間光通信開始。ソフトイーサの新事業「HardEther」

2008年11月25日 14時00分更新

文● 二瓶 朗

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中小~SOHOが気軽に手を出せる専用線サービスを

登氏

ソフトイーサ代表取締役会長 登 大遊さん

 「企業などの2拠点間を接続するサービスはすでに大手通信事業者が提供している。いわゆる専用線ということとなり、高額である。都内の短距離の拠点を接続する最低価格サービスでも月額55万円はする。かといって低価格なVPN接続サービスでは実用的な速度が出ない。この価格で手を出せない我々のような小規模のベンチャー企業や、100人規模程度の中小企業、もっと規模の小さいSOHO事務所はたくさんあるはず」と登さんは言う。

 同社が具体的なユーザーとして想定するのは、大型のデータをやりとりする必要のある企業。たとえばTVなどの映像制作会社だ。納品先であるテレビ局と制作現場とを高速な2拠点間通信で接続できれば、映像データのやりとりに関するコストを大幅に軽減できる。また、印刷所とデザイン事務所も同様のケースになるだろう。

 「特に東京都内を中心として、20~30km内の拠点間でサービスを提供したい」というから、同社の想定するような顧客には事欠かないだろう。なおこのサービスエリアは“ソフトイーサ本社所在地から自動車で2時間以内”という定義があるとのこと。同社のあるつくば市を中心に2時間以内というと、東京都内主要部から埼玉県などをカバーできることになる。

 同システムを提案したのは、つくば市に建設していたショッピングモール「イーアスつくば」(2008年10月31日オープン)内に、「ロボットスーツHAL」で有名なサイバーダイン社が「サイバーダイン・スタジオ」という展示施設を設置することになったのが発端。その事業の一環として「サイバーダイン社の社屋とショッピングモールとの間、約10kmを拠点間接続したい、という依頼があった」と、サイバーダイン社の情報通信担当顧問でもある登さんは述べた。

 その事業において、さまざまな検討を重ねた結果、PacketiX VPNを用いるのではなく、ソフトイーサの技術とダークファイバを利用した、いわばHardEtherのプロトタイプ的な接続サービスが実現したのだという。

 ダークファイバを使うこと、HardEtherでの通信に障害が起きた場合にBフレッツを使ってバックアップする機能を有することから、HardEtherサービスはBフレッツに対応する地域を対象にして提供されることとなるが、登さんは「NTTの顧客を奪うことにはおそらくならない。同社のサービス対象にならないような中小企業やSOHOに対して“ぜひこのサービスを使ってください”という感じで棲み分けをしたい」と言う。

 ちなみに、“バリュータイプ”のサービスは、スタンダードよりも低価格な分、Bフレッツを使ったバックアップ機能がない。同“エンタープライズタイプ”は、バックアップ機能とともにファイバケーブルを2回線利用できる仕様となっている。ほかにも、“ベンチャー割引”“アカデミー割引”といった優遇プランが用意されるが、それらもサポートの優先順位が下がるという条件付きのプランになるという。

 HardEtherでの、サービス通信速度は基本的に1Gbpsの80%の800Mbpsで帯域保証を行なうという。登さんによれば「拠点間の距離が40km以下であれば、10Gbpsも可能」ということで、ユーザーからの要望に応じて10Gbpsサービスにも対応するという。

次ページ「低価格サービスタイプで 社会貢献も視野に」に続く

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