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低価格な2拠点間光通信開始。ソフトイーサの新事業「HardEther」

2008年11月25日 14時00分更新

文● 二瓶 朗

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登氏

 VPNソフトの定番といえばソフトイーサ社「PacketiX VPN」である。当サイトでも、先日同社が新バージョン「PacketiX VPN 3.0」をまもなく公開するというニュースをお届けしたばかりだ。その記事中でも触れたが、同社は新事業として「HardEther(ハードイーサ)」を展開する。

 そしてこのHardEtherは、なんと電気通信事業なのである。

 ソフトウェアVPNのエヴァンジェリストとしてPacketiXとともに発展を遂げてきた同社が、なぜベンチャー企業がほとんど手がけない電気通信事業という分野に進出したのか? 同社代表取締役 会長 登大遊さんにお話をうかがった。

ソフトイーサが手がける HardEtherとは

 「新たなビジネスとして、電気通信事業を開始する」。登さんは、インタビューを開始するやいなやそう切り出した。

 「2008年度内に、PacketiX VPN 3.0もリリースするが、それよりもプライオリティの高いプロジェクトとして“HardEther”をここ1年ほど進めてきた」と言う登さん。

 小規模のIT系ベンチャー企業は、一般的にアプリケーションの開発・販売や、コンテンツサービスの提供を手がけることが多く、OSI参照モデルにおける“レイヤーの下のほう”を事業にするのは珍しいケースだ。しかし同社はそんな電気通信事業を新事業に据えるという。

 登さんは、「HardEtherは仮想化技術ではなく、2拠点間を物理的に接続する通信サービスである」と続けた。いわゆる“広域ギガビットイーサネット専用線サービス” ということだ。広域ギガビット部分は共用で、2拠点間の帯域保証をする。サービス開始は11月25日を予定している。

 以下に、発表されたHardEtherの仕様を抜粋し、まとめよう。

電気通信サービス「HardEther」

提供者
ソフトイーサ株式会社 通信事業部
サービス内容
FTTH(Fiber To The Home)、FTTO(Fiber To The Office)
主なターゲット
企業およびSOHOのお客様
通信速度
1Gbps、10Gbps ※
サービスタイプ
・バリュータイプ(SOHO・中小企業向け)
・スタンダードタイプ(中小・中堅企業向け)
・エンタープライズタイプ(中堅・大企業向け)
品質保証
通信速度(スループット)が一定以上であること、および遅延が一定以下であることを保証。
提供エリア
当初は東京23区全域、東京都・茨城県・千葉県・埼玉県・神奈川県の一部でサービスを開始し、以後エリアを拡大予定。

「アカデミック割引」、「ベンチャー割引」等の割引制度有り。 特徴:ソフトイーサ株式会社が持つ独自技術とノウハウを用い、従来方式よりも安価かつ高速・高品質なサービスを実現。

※ 当初は1Gbpsのメニューを主要サービスとし、10Gbpsのメニューにつきましては、特別にご依頼がある場合にのみ提供いたします。

 「最大の目標は、SOHOや中小規模の企業に、低価格でサービスを提供すること」と登さんは言う。

 「我々がVPN技術を開発するにあたって、国費をいただいてきたという背景があり、それを還元する意味もある」と登さんが言うとおり、同社は有望なベンチャー企業として国から認められ、科学技術振興機構の補助金の提供を受けている。“還元”の一環としては、次期PacketiX VPNの無償版を、研究用途として提供することを決めているが、それと同様に、低価格で通信サービスを提供することで、社会に対して貢献したいと言う。

次ページ「中小~SOHOが気軽に手を出せる専用線サービスを」に続く

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