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松村太郎の「デジタルとアナログの間」 第4回

松村太郎の「デジタルとアナログの間」

遊びを誘発する箱──「Pixel Factory」と岡田氏

2008年12月01日 12時00分更新

文● 松村太郎

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Pixel Factory

「Pixel Factory」。パターンが組まれた紙をスライドさせることによって、自分の手でアニメーションを再生できる装置だ

ゲスト●岡田憲一氏

1980年生まれ。関東学院大学建築学部在学中に映像表現に興味を持つようになり、卒業後渡英。ロンドンカレッジオブコミュニケーション、ロイヤルカレッジオブアートでインタラクションデザインを学ぶ一方、海外の現代美術の企画展やデザインタイドなどで作品を展示。自身のウェブサイトでは、作品の写真や動画を公開している



手で触れられるデジタル

 アナログと比べた際のデジタルのつまらなさのひとつに、目の前にあるモノの構造が見えにくいことが挙げられる。例えば、色鮮やかなハイビジョンの映像が薄型のディスプレーに映し出されるさまは感動的かもしれない。しかし、それがどのように映像を受信し表示しているかといったプロセスは想起しにくくなってしまった。


岡田氏 なぜ光が映るのか、なぜアニメーションになるのか。これがわかるような仕掛けを、無駄のないカタチで実現したかった。


Pixel Factory

Pixel Factory

 箱の中の空洞が見える小さな木の立方体「Pixel Factory」を前に、岡田氏は目を輝かせる。この作品は、手動でアニメーションを作り出す道具だ。小さな木の箱の上部に薄いスリットが入っており、49本の光ファイバーの断面が1列に並ぶ。これが束ねられて、箱の側面に位置する正方形の窓に敷き詰められる。これが7×7のドットディスプレーになっているのだ。

 1列に並んだ光ファイバーをモノでふさぐと、その個所に対応する窓のドットが黒くなる。このパターンで7×7のディスプレーに像を作ることができる。つまり、ふさぐ個所を動かせばアニメーションになるのだ。

Pixel Factory

Pixel Factoryのディスプレー

Pixel Factory




 この上に、パターンが組まれた紙をスライドさせることによって、自分の手でアニメーションを再生する。それはどこか、レコードに針を落として音楽を再生する瞬間に近い。あるいは、記録媒体にパンチカードを用いていた過去のコンピューター、テープ記録だったオーディオやビデオを思い出す人もいるかもしれない。ついついノスタルジーを感じてしまうたたずまいなのだ。

 非常にシンプルなインターフェースだし、実際に触れて遊んでみれば誰もがその仕掛けを理解できる。そして、実際に触れて操作することによって映像が生み出される作品は、ありそうでなかった道具なのだ。

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