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これさえ読めば、知ったかぶりもバッチリ?

何もかも変わった新CPU!? Core i7 10の疑問

2008年11月22日 09時00分更新

文● 小西利明/トレンド編集部

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パフォーマンスは向上!
マザーボードやメモリーは総取り替え

Q4 性能は上がってるの?

A4 テストにもよるが、同クロックのCore 2 Duo/Quadよりも速い。インテルでは、Core i7-965 Extremeと最速のCore 2 Quad Extremeを比較して、40%も高速としている。

インテルが公開したベンチマークテストの例。ビデオ編集に関する性能グラフで、Core i7-965 Extremeが25~79%高速としている

 まず前述のように、Core i7はメモリーコントローラーを内蔵したことにより、メモリーアクセス全般に関わる性能が向上する。キャッシュメモリー全体の容量も増えているので、これによる上乗せも期待できる。

 4つのCPUコアに加えて、HTにより8スレッド同時実行が可能になっているので、マルチスレッド化によりパフォーマンスが向上しやすく作られたアプリケーション(例えばビデオエンコード)では、さらに性能向上が期待できる。ただし、シングル~少数スレッドのアプリケーションでは、HTの効果はあまり期待できない。

 アーキテクチャー面では、「ターボ・ブースト・テクノロジー」(以下ターボ・ブースト)による性能向上も期待できる。45nmプロセス版のCore 2 Duo/Quadにも、「Enhanced Dynamic Acceleration Technology」(以下EDST)と呼ばれる自動オーバークロック機能が内蔵されていた。ターボ・ブーストはそれをさらに強化したものだ。

ターボ・ブースト・テクノロジーの動作パターン

2つのコアを停止し、残る2つをクロックアップ

ターボ・ブースト・テクノロジーの動作パターン

3つのコアを停止し、残るひとつを大きくクロックアップ

ターボ・ブースト・テクノロジーの動作パターン

4つのコアすべてをクロックアップ

ターボ・ブースト・テクノロジーの動作パターン

 ターボ・ブーストはCPU自身による自動オーバークロック機能とも言える機能だ。例えば、4つのCPUコアそれぞれの処理負荷が低い場合、CPUコアのうち2つを停止。残る2つのコアをオーバークロックで動作させることで、処理能力を向上させる。3つを止めて、残るひとつをさらにオーバークロックしたり、4つ全部を少しオーバークロックするといった柔軟な高速化も可能となっている。

 一般的なCPUのオーバークロックは、消費電力と発熱量の増大と引き替えに、すべてのCPUコアの動作周波数を引き上げるものだが、ターボ・ブーストはあくまで「TDPの枠内で行なう」点に特徴がある。低負荷のCPUコアを停止させた余力の枠内で行なうので、TDPの枠を超えた冷却機構を備えたりする必要がない。ちなみに、ターボ・ブーストでのオーバークロック幅に個体差はなく、上昇限度は決めうちされている。

 また、Core 2 Duo/QuadのEDSTは、負荷の低いCPUコアがアイドル状態(C3ステイト)に入った時にだけ、1段階分のオーバークロックが可能であった。それに対してCore i7のターボ・ブーストでは、各コアの負荷が低い状態でも動作するし、オーバークロックの段階も複数になるなど、柔軟な高速が可能になっている。

 そのほかにも、特定の命令を組み合わせてひとつの内部命令(μOps)に変換することで、処理性能を向上させる「マクロフュージョン」が、64bit命令でも機能するように改良された。Core i7搭載マシンでは、メモリーチャンネルのトリプルチャンネル化に合わせて、6GBのメモリーとWindows Vistaの64bit版を搭載する例が多い。64bit命令の高速処理は、地味だが効果を発揮しそうだ。

 なお、ベンチマークテストによる性能比較については、こちらの記事も参照していただきたい。



Q5 今までのマザーボードやメモリーは使えるの?

A5 使えない。現在のCore i7は「LGA1366ソケット」と呼ぶ新しいCPUソケットにのみ対応しているので、既存のCore 2 Duo/Quad用マザーボードには装着できない。またCPUパッケージ自体のサイズも大きくなっているので、既存のLGA775用CPUクーラーは、そのままでは装着できない。LGA1366に対応するリテンション(固定金具)があれば可能である。

ヒートスプレッダーを外したCore i7

表面のヒートスプレッダーを外したCore i7。サイズはCore 2 Duoより一回り大きい

Core i7の裏面

Core i7の裏面。端子の種類はCore 2 Duoと同じLGA(Land Grid Array)だが、メモリー接続用端子の追加などもあり、ピン数は1366と大幅に増えた

 メモリーもDDR3-1066対応となっているので、既存のDDR2メモリーなどは使えない。また、Core i7はメモリーチャンネルがトリプルチャンネル構成になっている。そのため、メモリーモジュールは3枚単位での装着が基本となる。デュアルチャンネル対応で2枚単位の接続だったCore 2 Duo/Quadとは、ここも異なる点だ。

Core i7はDDR3メモリー対応

Core i7はDDR3メモリー対応で、既存のDDR2メモリーは使えない(写真は各社のDDR3-1066メモリーモジュール)。また装着も3枚単位が基本

 Core i7搭載パソコンを自作する場合は、CPU、マザーボード、メモリーを総取り替えする必要がある点を覚えておきたい。なお、グラフィックスカードなどは問題なく使える。電源ユニットについては、電源ユニット自体の仕様やマザーボードに依る。



Q6 どんなチップセット/マザーボードなら使えるの?

A6 対応するチップセットは現在、「Intel X58 Express」のみ。

Intel X58 Expressチップセット

Intel X58 Expressチップセット。右はI/OハブのICH10

X58 Expressのブロックダイアグラム

X58 Expressのブロックダイアグラム(インテル ウェブサイトより引用)

 X58はハイエンドマザーボード向けのチップセットで、36レーン分のPCI Express 2.0インターフェースを備える。これにより、NVIDIA SLIやATI CrossFireなどのグラフィックスカード2枚差しを可能としている。I/OコントローラーのICH10は、すでにIntel 4シリーズチップセットで採用されているものと同じだ。

 ハイエンド製品向けに位置づけられているだけに、発売または発表されているX58採用マザーボードもおしなべて高価。3万円台後半から4万円台後半の製品が主体である。

ASUSTeKのCore i7対応マザーボード「P6T DELUXE」

ASUSTeKのCore i7対応マザーボード「P6T DELUXE」

 X58採用マザーボードは、ASUSTeK、MSI、Gigabyte、Foxconnなどが製品を発表している。特にASUSTeKは、一挙に5製品を発表している。

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