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コクヨのCO2削減実験場

総工費約7億円!の“エコライブオフィス”

2008年11月21日 10時00分更新

文● 行正和義

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屋外で一日中仕事をする“ガーデン”オフィス

 テクノロジーでどれだけカバーしようとしても、エコライフというのは個人個人がわずかな不便を我慢して(冷暖房を抑えるなどして)生活することであることは確か。その点エコライフオフィスでは、従来型のオフィスのままで単に社員に不便を強いるのではなく、そこで働く社員が自然に環境に配慮するための意識改革の場としての工夫が多くなされているのが面白い。

ガーデン全景

オープンカフェかなにかと間違えそうな(むしろそうとしか見えない)ガーデン。もちろんどのテーブルにもタップが用意され、1日ここで仕事できる

 最も特徴的なのがエコライブオフィスの一角(というにはかなり大きなスペースを占める)にあるガーデンだろう。中庭のような広場に緑と水、各所にテーブルが設置されたこの空間は、社員の憩いの場として提供されているわけではなく、立派なオフィスの一部となっている。

 池(水盤)の周囲もテーブルとして利用でき、下部には電源タップが用意される。オープンカフェのような木のテーブルもあくまで仕事用の机の高さと椅子で、照明の配慮もなされている。フリーアドレスと無線LANのおかげで天気のいい日和にはこんな場所で仕事をするのもいいかもしれない。

ガーデン全景

水盤や机にも電源タップが用意されている

 と、感じるのはもちろんだが実際にそこで仕事をするとなると話はかなり異なる。なにしろ屋外なので夏は暑いし冬は間違いなく寒く、天気のいい日だけとも限らない(一部は屋根が付いているスペースもあるが)。よほど気持ちのよい春先や秋口くらいしか使われないだろうと思えるが、ガーデンの利用にはある程度目標数値が設けられており、だいたい年に90日以上を目標にしているという。もちろん夏や冬は厳しいはずだが、そういった四季の変化を実感しつつも自然と環境意識を持つように作られたものなのだ。

 エコライブオフィスはこのような照明・空調など施設(ハードウェア)的なものと社員の意識変化(ソフトウェア)的なものの両面から約41.5%(56t)のCO2削減を目標としている。

屋根

ガーデンにも屋根があるスペースも用意される。電球色の照明は、屋内とさほど変わらない印象で仕事ができるようにとの配慮。手前にあるのは太陽電池による携帯電話充電器で、こまめに消費電力を抑える工夫もなされている

 とはいえ、ガーデンをはじめとしたエコライブオフィスの空間は単に我慢しつつも仕事をするためのものだけではない。従来型のオフィスのままエアコンの設定温度を下げ、こまめに電気を消すといったルールを単に押し付けていたのでは社員のモチベーションも創造性も低下してしまう。ガーデンや会議室などの空間を配置して社員の創造性を高める工夫が随所に凝らされているのもエコライブオフィスの特長となっている。そのユニークなオフィス構造と使い方に関しては次回詳しく紹介しよう。

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