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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第78回

猫がわらわら集まる無人駅

2008年11月21日 04時11分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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 猫たちはいつのまにかホームで勝手にくつろいて、客が降りて無人になった電車の横で日向ぼっこしてる。さすがに電車には乗らないけど。

電車をぼーっと見つめる白猫(2008年11月撮影 ニコン「D90」)

電車をぼーっと見つめる白猫(2008年11月撮影 ニコン「D90」)

 今、JR鶴見線では「駅2008 鶴見線に降りたアートたち展」を開催してる(2008年12月7日まで)。駅を展示空間とした現代芸術展だ。ひとつの駅をひとりが担当し、作品展示というよりは、駅空間自体を作品にしてしまうインスタレーションである。

 終点の扇町駅はMana氏が担当。石や気のきいたオブジェを置いたり、駅の小さな池をデザインし直して、臨海工業地帯の終点という特異な空間をほどよく変貌させていた。

石のサークルも猫にはほどよい昼寝場所。アートだろうが気にしない……むしろ、こういうのは好き(2008年11月撮影 ニコン「D90」)

石のサークルも猫にはほどよい昼寝場所。アートだろうが気にしない……むしろ、こういうのは好き(2008年11月撮影 ニコン「D90」)

 もちろん、猫もまたインスタレーションの一部である。たぶん。

 駅を出て(もちろんちゃんと駅の簡易Suica改札機で清算してます。モバイルSuicaってすごく便利)工業地帯を散歩しながら浜川崎駅まで歩き、そこから電車で浅野駅へ。

 インスタレーションされた駅は全部で4つあり、浅野駅もそのひとつ。鶴見線は行き先によって3本あるのだが、浅野駅は扇町行きと海芝浦行きの分岐点にあり、2つの線に挟まれた三角形のホームが特徴だ。そこに安藤栄作氏の彫刻がある。

 ここもまた猫がそのインスタレーションの一部なのだ……たぶん。

こういうアート空間に猫がちょこんといる姿は妙に似合ってる。特に黄色と黒のコントラストがいい。しっぽの先がラブリー(2008年11月撮影 ニコン「D90」)

こういうアート空間に猫がちょこんといる姿は妙に似合ってる。特に黄色と黒のコントラストがいい。しっぽの先がラブリー(2008年11月撮影 ニコン「D90」)

 もちろん猫にとって彫刻はかっこうの遊び場。黒猫が2匹でちょこんと作品に座ってた。1匹はしっぽの先が白くて面白い。

猫にのりかかられて困ってる人……という感じ(2008年11月撮影 ニコン「D90」)

猫に乗りかかられて困ってる人……という感じ(2008年11月撮影 ニコン「D90」)

 猫なので木でできた彫刻作品があるとこんなことになったりする。それも含めてインスタレーションされた屋外空間ならではの光景。昼間の人が少ない鶴見線ならではのおおらかさがいい。そしてこの彫刻群が、そこにあるのが当たり前のように、無味乾燥だった工業地帯の駅に似合ってるのである。

筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメのレビューをしている。趣味はネコと自転車で、天気がいい日は自転車で都内を走り回りながら面白いものを見つけては撮影する日々。最近の単行本は『デジカメ撮影の知恵』(宝島社新書)。密かにネコ動画ポッドキャストも更新中。



*次回は11月26日掲載予定

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