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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第12回

Inspiron Mini 12は「ハイエンドB5モバイル」キラーか (3/4)

2008年11月20日 09時00分更新

文● 西田 宗千佳

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無音・低発熱で快適
速度は遅いが「実用範囲」

 実際に動作してみてすぐに気がつくのは、動作音がほぼ無音である快適さだ。

 Pentium Mの時代とは違い、現在のモバイルノートでは、放熱のためにファンを搭載する製品が多い。だがMini 12は、発熱と消費電力の低いAtomを使っているためか、ファンレス設計となっている。

本体底面

本体底面。ファンレスとしては、非常に優秀な放熱性能を誇る。ボディーが大きくなった分、内部に余裕ができているせいだろうか。非常に快適な使い勝手

 しかもそのファンレス設計は、無理に実現したものではない。処理負荷をかけても本体はほとんど発熱せず、不快感を感じることがない。パームレストはほぼ常に30度以下、キーボード面でも30度前後が維持される。もっとも発熱を感じた底面奥であっても、37度程度までしかあがらない。夏場にどうかは保証の限りではないものの、少なくとも今の気候ならば、膝の上で使っても、極端に不快とは感じないだろう。

表1 各部の温度 放射温度計による測定、外気温は22℃
パームレスト キーボード 底面の最大発熱部
アイドル時 約29度 約31度 約33度
フルパワー時(H.264動画再生時) 約30度 約33度 約37度

 また特徴的な点として、負荷が高い時と低い時の温度差があまりないことも指摘しておこう。Atomとそのチップセットは、そういう発熱傾向にある、ということなのだろうと予想される。

 となると次に気になるのは、当然「処理能力」となる。起動速度などを計測してみたが、正直あまり速くはない。

 Mini 12は一般的なNetbookと違い、OSにWindows XPではなくWindows Vista Home Premiumを採用している。そのためか、起動時間はおおよそ1分半と、かなり待たされる印象だ。ちなみに休止機能を使った場合でも、復帰には40秒弱かかる。

 Windowsエクスペリエンス インデックスは「2.9」。ボトルネックはグラフィックで、これはWindows AeroのないVista Basicであるがゆえ、と思われる。

エクスペリエンス インデックスは高くない

エクスペリエンス インデックスは高くない。とはいえ、この数値から感じるほど遅いとも思わない

 実際のアプリケーションの動作速度は、意外とさほど遅くない。Vista搭載である割に、メモリーが1GBと少なめであるためか、アプリケーションの起動までにはいくらか待たされる印象がある。しかしいったん起動してしまえば、そんなに動作は遅いと感じない。

 もちろん、Internet Explorer 7のタブを数十個開いたり、アプリケーションを同時にいくつも利用する、といった使い方をすれば遅いのだが、「同時に利用するタスクは数個まで」と限定すれば、十分に使える印象である。

 実際、ニコニコ動画のように「重い」ウェブサービスを見た場合や、Office 2007を使った場合のCPU負荷は、おおむね5割から8割の間であった。値段が一般的なモバイルノートの半分以下であることを考えると、「Office 2007やウェブアプリを使うレベルならば、まあいいか」と感じる程度の差でしかないのも事実である。特に、ウェブブラウザーをChromeのように速くて、狭い画面をより有効に使えるものに切り換えると快適だ。

ニコニコ動画再生時のCPU負荷。負荷が大きくなるのはいわゆる「弾幕」時。とはいえ、コマ落ちもないし、動作を重く感じることもほとんどない

 なお、操作性向上を目的に、デルオリジナルのランチャーソフトが搭載されている。しかし、操作性はあまり良くなく、実用性は低い。むしろ、Vistaのスタートメニューをきっちり使いこなす方が現実的だろう。

オリジナルランチャーソフトがある

オリジナルランチャーソフトがあり、ネット系の機能を簡単に呼び出せる。しかしメリットは薄く、継続的に使う意義は見いだしにくい。むしろ、その分メモリーを空けた方がいい

 Mini 12に搭載されているバッテリーは3セルタイプ。カタログ上は、3時間32分動作することになっている。

付属バッテリーはコンパクトな3セルタイプ

付属バッテリーはコンパクトな3セルタイプ。大容量タイプの発売も期待される

 今回は液晶ディスプレーの輝度を最低/最大の両方で、「BBench」を使って、無線LANで通信を行なった状態での動作時間を計測した。バッテリー持続時間はかなりカタログに近い値が出ている。液晶ディスプレーの輝度が高いと、さすがにそれほど保たないが、実用的な輝度へと落としておけば、おおむね「無線LANで利用しながら3時間は持つ」と言ってよさそうだ。

バッテリー駆動時間の計測結果

バッテリー駆動時間の計測結果。「BBench」を使い、10秒ごとにキー入力、60秒毎に無線LANを使い、ウェブへのアクセスを自動的に行ないながら、バッテリーが切れるまでの時間を計測。設定1:デル推奨設定、バックライト輝度最高。設定2:デル推奨設定、バックライト輝度最低

 現時点では販売されていないものの、6セルタイプの長時間バッテリーが今後販売される予定である。6セルバッテリーが登場すれば、倍の6時間動作することとなり、「バッテリー持続時間重視派」も不満は少なくなるはずだ。

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