xiao TIP-521は「カメラ付きのプリンター」という発想
―― 実際に売るのは「おもちゃ屋」なんでしょうか、それとも「電器屋」なんでしょうか。
土肥 量販店さんのカメラコーナーから引き合いをいただいています。コンパクトデジカメの売り場で併売される形になりますね。年間10万台の出荷を見込んでいますが、実際はフタを開けてみなければ分からないですね。
―― 今後の製品ラインナップとして、たとえばもっと安価なモデルや、ニンテンドーDSiと接続できるプリンターなどは発売されるんでしょうか。
土肥 具体的な製品はまだ申し上げられませんが「その場でプリントできる」という特徴を持った製品ラインナップを揃えていこうと考えています。
というのも、その製品化第1弾がカメラだったのは「ケータイにカメラを付けるより、プリンターにカメラを付けるほうが自然だよね」という発想なんですよね。
「写真はプリントするのが楽しみなんだよ」というアイデアからサイズを考えずにつくっちゃうのは、カメラ屋さんにはなかなかできない発想だと思います(笑)
なら入力側は何でもいいかというと、必ずしもそうではないんですね。「何でも(出力)できる」ということになると、むしろ使用シーンが分かりづらく「何にも(出力)しない」ことになりかねない。それで今回カメラという分かりやすい着地点を持たせたんです。
―― 開発中、最も難しかったところはどこにあったんでしょう。
土肥 技術的な部分より「受け入れられるか」というプランニングが大変でした。当社もカメラ工業会(CIPA)の会員なんですが「カメラをどう簡単に楽しむか」という目標を持っているところで、まったく作り方が違うわけです。
他社製品の売れ筋や傾向を分析して「画素数はいくつがベストだ」「画角はどうすれば」と比較してできるものではなく、すべてゼロから考えなければならない。
―― 撮影スタイルやデザインが独特のものですよね。
土肥 10年前の当時、プリクラ世代だった30~40代の女性をメインに考えて色やカタチを決定していった経緯があるんです。皆さん、当然のようにケータイで写メールを撮ったことがありますので、その意味で「タテ型スタイル」を採用しています。
またターゲットを考えて、ただのおもちゃとしてではなく(本体側面にシボ加工があしらわれているなど)レトロだけど高級感がある、というイメージにもこだわっています。
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