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桜子のビジネスリーダーズインタビュー 第7回

IT業界で働く桜子のビジネスリーダーズインタビュー

そのレーサー、マイナス思考……でも強い

2008年11月21日 04時00分更新

文● 桜子(Interviewer&blogger)

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レーサーという夢を持ち続けて

 アマチュアが集まったレース(富士フレッシュマンレース)で勝ったからといってプロになれるわけじゃない。この時、見てくれていたトムスから、シートが空いた車に乗れることになり、個人で費用を出さなくても済むようになったという。

桜子 ほっとしましたか?

新田 そうはいっても、お金がどこかから出ているのに変わりはない。成績を求められるような重みで苦しいという中、若さでガムシャラにやりました。

 プロドライバーになって約20年。8年くらい前の一時期、日常生活で気づかないうちに車の音真似をしてイメージトレーニングをしていたり、不眠症で苦しんだ時期もあったという。今日まで新田氏を支えてきたものは何だったのか。問うと、夢だと新田氏は静かに語り始めた。

新田氏

新田 夢について、すごい! と僕が思うのは、1日1日の暮らしの中で、夢がどんどん変わっていっちゃうということ。僕の場合、見たことのないものは夢にもならないという部分がある。レース界に入って、プロの世界を垣間見ているときに、先輩達がやっている姿を見て、それをどんどん夢にしていくんですよね。そばで見ていて、ああレースってこんな世界なんだと気づかされた。

 ただ、自分が最初に思い描いていたレースの世界と、実際に入ってから知ったのでは違うこともあったのだという。

新田 僕は多分、人付き合いが苦手で、人見知りが激しいんです。レースって自分ひとりで運転するから、自分ひとりで完結すると思っていたのに、いざ先輩を見たら、これは自分ひとりの世界じゃないんだな! と。そのときに一回「俺、この道を間違えたかも」と思いました。やっていけないんじゃないかって。

桜子 引き返さなかったのは?

新田 周りが考える時間を与えさせなかったというのか。プロの世界にステップアップしていくのにオーディションみたいなものがあるんですよ。そこで一番速かったヤツを使うからな、と言われるワケですよ。

桜子 興奮しますね!

新田 いやあ、だけど、周りはみんな先輩なんですよ……。

桜子 そんなの、車に乗ったら関係ないですよね!

新田 だけど、そこで僕、マイナス思考だから(勝てると思わなかった)。

桜子 謙虚だなあ~。実力で勝ってやるとか思ってもいいはずなのに。では、どうして勝てたのですか?

新田 それは運……ですね。大体、単純な実力で言ったら、今のほうが遥かに高いですもん。

次ページ「宮本武蔵のレース戦略」に続く

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