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Touch Diamond徹底解剖 第12回

デビッド・コウ社長に聞いた

スマートフォン元年の覇者、HTCの狙い

2008年11月17日 16時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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台湾本社を中心にワールドワイドに展開するHTC

成功の方程式はキャリアを超えたブランディング

 さて、今回のインタビューは10月に開催された「Touch 3Dラウンドテーブル」と題されたイベントの後に行なった。イベントは銀座ミキモトのビルにあるクールなレストランが舞台だった。Touch Diamondのこれまでにないデザイン性と操作性を持ったスマートフォンにふさわしい場だ。今回のイベントから垣間見られるキャリアを超えたブランディングには、成功の方程式が隠されている。

 「今回の端末はイー・モバイル、ソフトバンク、そしてドコモからリリースされます。異なる戦略を持つ各キャリアと密接にコミュニケーションを取り、1つの端末が細かい技術用件を満たすこと、そして大きな各キャリア戦略をサポートする役割を果たしていくことが重要です」(田中氏)

ソフトバンクモバイルにかつて在籍し、当時からWindows Mobile端末を担当していた田中義昭氏

 キャリアの戦略をサポートする役割を1つの端末が背負う、とはどういうことだろう? HTCのマーケティングを担当する田中義昭氏は下記のように語る。

 「例えば、イー・モバイルはモバイル・ブロードバンドを企業ブランドにしている。イー・モバイル向けのTouch Diamondは7.2MbpsのHSDPAに対応し、しかもBluetoothやWi-Fiを通じてモデムとしても活用することができる点で、この端末の役割は大きい。またドコモはブランドチェンジを行い、革新性の点でTouch Diamondを活用できる。またソフトバンクはモバイルインターネット元年を標榜しているので、より自由なネットを楽しめるHTC製品がサポートできます」(田中氏)

Touch Diamondを一足先に10月に投入したイー・モバイル。モデムとして使える点が大きな魅力だ

 この考え方は、複数のキャリアに端末を提供する日本の端末メーカーと似ているようで、少し違う。とある端末メーカーの方に話を聞くと「社内でも提供先のキャリアが違うとコミュニケーションは少なく、別の会社みたい」なのだそうだ。その結果、提供する端末は同じメーカーであっても1つとして同じデザインではない。

 一方HTCでは、各キャリアに対して1つの端末でそれぞれのニーズに応えようとしていく。キャリアごとの細かい仕様への対応は必須だが、ユーザーから見ればイー・モバイルでもTouch Diamondだし、ソフトバンクでもドコモでもTouch Diamondなのだ。

ガートナーとHTC独自の調査によると右肩上がりでスマートフォン市場は伸びていくとのこと

 「全てのキャリアで同じ製品をリリースすることは、アメリカでもやってきました。日本での問題点とされているSIMロックは、実はアメリカでも同様です。グローバルな戦略として多数のキャリアから同じ端末を出すことを行なってきました」(コウ氏)

 この戦略によって、アメリカでのWindows Mobile端末の高いシェアや、世界での出荷台数の伸びを実現してきた。結果として、ユーザーのケータイの買い方を変える。今まではキャリアありきで、その中から端末を選んできた。しかし全てのキャリアで同じ端末がリリースされていると、「ユーザーはキャリアを選ぶだけで済むようになる」(コウ氏)のだという。

 そうなると「HTCのスマートフォン」というブランドの確立は必要不可欠なユーザーとの対話であり、キャリアの中での端末のポジショニングとは別に、HTCとしてTouch Diamondをどのように「魅せて」いくかは、非常に重要な市場との対話となってくるのだ。

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