ショッピングサイトなどを運営するに当たっては、アクセス解析が必須の作業になる。以前は、自前でソフトを導入する必要があったが昨今ではSaaS・ASPなどの形態で手軽に利用できるサービスが増えている。
そもそもアクセス解析とは?
Webサイトにおいて、どれだけのユーザーが、どこから到着し、どれくらい滞在したのかなどを調べるのが、アクセス解析である。アクセス解析を行なうことで、担当者はより人気の高いサイトに更新したり、広告の効果を測定したり、サーバや回線などを適切に増設することが可能になる。
古典的なWebサイトでは、単にHTMLページごとのアクセス数であるPV(Page View)や、サイトごとの訪問者を測ったクリックストリームの数値をメインに、サイト更新やインフラ増設を行なってきた。しかし、ショッピングサイトであれば、単にPV 増加だけではなく、実際に売れるところまでこぎつけないと意味がない。こうしたサイトの目的を「コンバージョン」と呼ぶ。このコンバージョンを導くために、広告効果を見たり、検索キーワードを分析したり、ユーザーの移動を見る動線監視などを行なうのが、アクセス解析ツールである。
SaaS・ASP 型で提供されるアクセス解析
こうしたアクセス解析ツールは、解析手法によっていくつかの種類がある。一般的なのは「Analog」を始めとするWebサーバのアクセスログを調べるタイプだ。そのほか、解析対象のWebページにJavaScriptのタグを埋め込み、解析サーバにデータを飛ばすタグ方式(ビーコン方式)や、パケットをすべて取り込んで解析するパケットキャプチャ方式を採用する製品もある。
アクセス解析ツールは、無料ソフト、商用製品、SaaS・ASP形式など数多いが、もっとも有名なソフトウェアとして「Google Analytic」が挙げられる。もともと商用の「Urchin」というソフトウェアだったが、これをグーグルが買収し、さらに無料サービスとして提供したため、大きな話題となった。
それ以降、アクセス解析ソフトは、ホスティングサービスに標準で組み込まれたり、SaaS型で提供するベンダーも現れるようになり、中小規模の企業でも導入しやすくなった。
たとえば、2008年の5月には、オーリック・システムズがアクセス解析ソフト「RTmetrics」の「SaaS Edition」を提供開始した。RTmetricsは高速なデータベースとパケットキャプチャ方式をベースにしたアクセス解析ソフト。一方のSaaS Editionでは、タグ方式を採用し、ユーザーの行動をいろいろな条件で簡単に分析できるようレポートも作り直したという。
また、7月31日にはログ分析型のアクセス解析ツールであるアクセントの「LogChaser」の新バージョンも提供開始した。こちらは顧客のWebサーバのログをアクセンス側で解析する。リアルタイム解析ができない代わりに、Webページ上にタグを貼り込まなくて済むというメリットもある。
その他、携帯電話でのアクセス解析にはディ・ワークスの「Wellout」、オプトの「ADPLAN SP mobile」などもある。
このようにアクセス解析のサービスの選択肢は広い。また、ツールの使い勝手もよくなっており、Webサイトの更新についての意思決定も迅速に行なえるようになっている。こうしたアクセス解析に敷居の高さを感じていた担当者も、検討してみるとよいだろう。