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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第46回

Touch Diamondを複数キャリアで展開する意義

2008年11月06日 14時30分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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日本で磨かれるHTCの技術力

 2008年冬モデルで、日本のケータイはエージェントやコンシェルジュ機能といった、ユーザーの生活をケータイがサポートしてくれるサービスが始まり、生活密着型のメディアとしての性格をより強めている。そんなラインアップの中で、各キャリアはスマートフォンにさらなる注力をしていく姿勢を見せている。

 「各キャリアで市場戦略が違うが、その戦略を後押しする製品として提供する」とはHTC Nipponのデビッド・コウ氏の言葉。料金プランやキャリアのサービスがそれぞれ違っても、同一端末を違った意味で世に送り出すことができるのが、HTCの強みである。

HTC NIPPONのデビッド・コウ社長。青山ダイアモンドホールで行われたイー・モバイル Touch Diamond発表会にて

 Touch Diamondは「グローバル・ワン・プロダクト」。グローバル・ワン・プロダクトとは建設機械や自動車、カメラなど世界中のどこに行っても通用する類の製品を指す。ケータイは言語や習慣、ライフスタイルなどに左右されるため、ノキアのようなグローバルメーカーであっても、なかなか同じ製品を世界中で展開することは難しかった。

 しかし世界的なモバイルインターネットの潮流や、iPhoneのように1機種で世界展開する端末の存在で、ケータイをグローバル・ワン・プロダクトとして打ち出すことも可能になってきた。

 さらに、日本での展開はグローバルにフィードバックできる点も多々ある。コウ氏は、日本のケータイの品質や通信の基準の高さ、制限の多さへ対応することで「世界のどこへ行っても通用する」ローカライズのノウハウを得ている。

 HTCからは世界でヒットするケータイの作り方を学びつつ、日本ではさらに輝くケータイへと洗練度を高めるマーケットであることを自覚して、Touch Diamondを日本人がどう評価していくのか。日本国内、そしてグローバルなモバイル産業を考えるよいきっかけになるのではないだろうか。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET



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