日本企業は世界でどう戦うべきか?
あれから76年、パナソニックには特別な中央電気倶楽部の意味
2008年11月05日 05時01分更新
社名変更、ブランド統一を約40日後に控えた2008年8月20日。大阪・堂島の中央電気倶楽部に、量販店や地域専門店を担当するパナソニック直系販売会社の社員約200人が集まっていた。
ナショナルブランドの商品が、パナソニックブランドへと一本化されるのにあわせ、その意図を改めて説明し、販売会社社員の結束を高めるのが狙いだ。
会場では、これまでのブランドの歴史、ブランド価値に向けた取り組みなどの説明に加え、新たなパナソニックの「ブランドスローガン」、「ブランドプロミス」、「ブランドバリュー」が、初めて社員に向けて説明された。
ナショナルからパナソニックへのブランド変更は、国内で慣れ親しんだブランドの消失につながる。また、グローバル化のメッセージは、国内市場を後回しにするという誤解をもたらす可能性もあった。
この決起大会では、パナソニックへのブランド統一こそが白物家電事業にとってチャンスになること、グローバル化は国内市場にとっても多くのメリットをもたらすことを、国内販売を担う直系販社の社員が、共通の認識として持つことにあった。
細かな説明のあと、「社名変更、ブランド統一によって、パナソニックの名のもと、グループがさらに強く結束し、パナソニックのフランド価値を世界トップレベルに引き上げるのが目標。真のグローバル・パナソニックを実現していこう」と、同社幹部社員は呼びかけた。
その後、派遣社員を含む8人の社員が、代表として次々と壇上にあがり決意を表明。「これまで以上の創意工夫によって、パナソニックの白物家電を販売していく」、「お客様の声を、開発、製造部門に伝えることで、より進化した白物家電を世の中に送りたい」と、力強い言葉が相次いだ。
これを受けて、最後に登壇したパナソニック株式会社の牛丸俊三副社長は、「もっと商品を熱く語り続ける集団であり続けてほしい。また、パナソニックにしかできないマーケティング革新に取り組んでほしい。そして、常に、一商人としての気持ちを忘れるな」と檄を飛ばし、その言葉に大きな拍手が巻き起こった。
この日は、国内販売部門が、パナソニックの統一ブランドに向けて、初めて気持ちがひとつになった日でもあった。
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