バランスのとれた高画質が売りの中級機
キヤノンから「EOS 50D」が登場した(関連記事)。EOSシリーズでは、中級クラスに位置付けられる「EOS二桁」シリーズ。
フルサイズ機のEOS 5DシリーズもMark IIに3年ぶりに進化したばかりだが、二桁シリーズも昨年のEOS 40DからEOS 50Dへと進化している。今回は仮想ライバルとして、「ニコンD90」と併用してみた。
EOS 50Dの実売価格はボディーのみで10万円台前半。D90と比較すると2~3万円ほど高価となる。D90と比較して感じたのは、良くも悪くも非常に優等生的な製品ということだ。EOS 50Dは初心者にはその写真のスキルを問わず、ハイアマチュアからプロ層まで幅広く使える1台である。
仕様面では、このクラスとしては最高画素数のCMOSイメージセンサーや、ISO 12800相当までの高感撮影といった魅力がある。ただし、全体としてみると正当的な進化で、比較的オーソドックスにまとめた印象だ。
CFカードスロットのカバーにバネがないなど、コストカットを感じる部分も散見されるが、シャッターを押したときの感触や動作音などにはかなり高級感が出てきた。EOS 40Dでは発売当初、レリーズ音の評判があまり良くなかったのだが、実は後期ロットで改善されていたという。このあたりの地味な改善が利いた結果だろう。
ただ、EOS 50Dは、ハイアマチュアをターゲットにしたAPS-C機の最上位モデルなのか、単にKissシリーズの上位機種として捉えているのかが、少々曖昧な気もした。ラインアップの細分化は予算や用途に合わせて最適なモデルを選べるという利点があるが、普及期に入り、低価格化が進む、デジタル一眼レフ市場の中で、このクラス(レンズキットで10万円台半ば)の位置付けが少々混沌としてきているようにも感じる。
EOSシリーズは、上位のEOS 1系から、エントリーのKiss Fまで、かなり細かなセグメント分けがなされている。撮像素子に関しては、APS-C機だけで3種類、APS-Hや35mmフルサイズまで含めれば計5種類もの撮像素子が軒を連ねている。(自社供給か他社供給という違いもあるだろうが)上位機種の撮像素子を下位モデルにキャリーオーバーしているニコンとは対照的だ。
なお、評価機は実写サンプルの掲載が可能な量産試作機のため、製品版と一部異なる可能性がある。