GIGABYTE TECHNOLOGY(以下GIGABYTE)から発売された「GA-EP45-UD3R」はチップセットにIntel P45 Expressを搭載するミドルレンジクラスのマザーボードだ。
すでに同社からは「GA-EP45-DS3R」というIntel P45 Expressを搭載するマザーボードが発売されているが、「GA-EP45-UD3R」はマイナーチェンジモデルに当たる。と言いたいところだが、マイナーチェンジ以上に革新されているのが「GA-EP45-UD3R」なのである。
「GA-EP45-UD3R」のUltra Durable 3 テクノロジーとは?
GA-EP45-DS3Rで採用されていた「Ultra Durable 2」を発展させたものがGA-EP45-UD3Rに搭載されている「Ultra Durable 3」だ。大きな違いは基板のGND層(電源層)の厚みがGA-EP45-DS3Rでは35μmだったのに対し、Ultra Durable 3テクノロジーを採用するGA-EP45-UD3Rでは倍の70μmとなっている点だ。これをGIGABYTEでは「2オンスPCB」と呼んでいる。またUltra Durable 3は、Ultra Durable 2のテクノロジーを全て継承している。そのテクノロジーとは次の3つ。
- ・Lower RDS(on) MOSFET(低内部抵抗のMOSFET)
- ・LowPower Loss Ferrite Core Choke Design(フェライト磁芯チョークコイル)
- ・Lower ESR Solid Capacitor Design(固体コンデンサの採用)
ではこれらを一つずつ見ていこう。
Lower RDS(on) MOSFET
RDS(on)とは、スイッチング電源に使われるMOSFETやトランジスタなどがオンになったときに必ず生じる抵抗のことで、一般に内部抵抗、あるいは内部オン抵抗などと呼ばれる。この抵抗が大きいと自身の発熱が大きくなり、その結果、流せる電流量が減ってしまう。CPUに限らずトランジスタ技術をベースにした電子部品は熱によって流せる電流量が減ってしまうため、オン抵抗をいかに低くするかがMOSFET開発での課題となっている。
昨今ではこの技術にブレイクスルーが起き、従来よりも格段に小さく、そして大電流を流すことができるようになった。この恩恵は比較的身近なものにも応用されており、例えばホビーラジコンで使われるESC(エレクトロリック・スピードコントローラー)などは小型化と同時に定格で700Aを超える電流を流せる製品が登場するなど、劇的に変わりつつある。(余談だがホビーラジコンのパワーは今トンデモなく上がっている)
そしてUltra Durable 3で使われているMOSFETはLower RDS(on)、つまり内部抵抗の低いものが使われているということだ。GIGABYTEの広報資料によると、従来よりも16%ほど温度を低く抑えることができるという。
LowPower Loss Ferrite Core Choke Design
スイッチング電源に使われる安価なコイルは磁芯に鉄製が用いられるが、Ultra Durable 3で使われるコイルはフェライト(酸化鉄を主成分とするセラミックス)であり、その外装も同様にフェライト製となっている。フェライト磁芯は透磁率が高く、また高周波数での渦電流損失が小さいという特性がある。つまりコイルによってロスする電力を減らすことができるというわけだ。GIGABYTEの広報資料では一般的な鉄芯のコイルよりも25%省電力だという。
(次ページへ続く)