このページの本文へ

次世代Windowsの姿が見えた! 第6回

子供の教育にXbox 360!?――MSの最新研究を見た

2008年10月30日 22時12分更新

文● 塩田紳二

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 PDC2008の会期は4日間だが、基調講演は3日目で終わり。初日に「Windows Azure」、2日目に「Windows 7」と大ネタが続いたが、3日目のテーマは打って変わって、マイクロソフトの研究部門である「Microsoft Research」である。毎年、PDCではMicrosoft Researchの基調講演があり、同社で研究中の技術が公開される。今回はなかなか盛りだくさんの内容だったので、ここで紹介しよう。

Microsoft Researchによる研究の披露が行なわれた

PDC 3日目には、好例のMicrosoft Researchによる研究の披露が行なわれた

 講演でデモが披露されたのは、「SensorMap」「Second Light」「Boku」など。それぞれを簡単に解説しよう。


センサー情報を地図上で可視化 SensorMap

 SensorMapは、無線通信が可能な温度センサーや照度センサーを格子状などに配置して、広い範囲の状態を測定。全体状況を可視化するなどして、対象空間の環境変化などを観測しようという場合などに使うというもの。これを実際の地図に重ね合わせると、どこで何が起こっているのか分かる。

センサーが会場内の温度を測定。これを地図上で可視化

基調講演会場に設置されたセンサーが、会場内の温度を測定。これを地図上で可視化している

 基調講演会場の天井にはセンサーが設置されており、デモでは、会場内の温度変化を可視化して見せた。会場は最初冷たいが、人が入ってくると温度が変化しはじめる。会場内でも場所によって熱気が違うというのもちょっと面白い、マイクロソフト社員の多いところが熱くなったのか……。

このセンサー技術は本来、天候関連の研究のために作られたもの

このセンサー技術は本来、天候関連の研究のために作られたもの



映像投影技術の進化形 Second Light

Second Lightのデモ。地図の上に半透明の紙を置くと、そこに別の情報が表示される。地図ならば拡大表示が、画像なら画像関連の情報を出すといったことが可能で、紙をどければ元の画像が簡単に見える

 「Second Light」とは、すでに公開されているテーブル型タッチインターフェース「Surface」(関連記事)の先にある技術だ。Serfaceは天井やテーブルの下から映像を投影し、人の手やテーブル上に置かれたものなどを認識して、さまざまな操作を可能にするものだ。

 一方のSecond Lightでは、テーブルの上に表示される映像とは別の映像を、テーブルの上にかざした紙などに映すことで、2種類の映像を同時に見せられる。例えば、テーブルに地図を表示した状態で、地図の上に紙をかざすと、かざした部分の拡大画像が見える。また、写真の上に紙をかざすと、詳細な情報が見えるといった具合だ。使う紙のはトレーシングペーパーのような半透明の紙なので、軽くて操作も簡単。より大きな紙を使えば、広い範囲が見える。さらに紙に映っている映像を、指などで操作もできる。

 ただし現状では、テーブルの下に第2の映像を投影するための仕組みなどが必要で、装置は大がかりな(小型冷蔵庫並みの)ものとなっている。とはいえ、単に画面を操作するだけのSerfaceに比べると、応用範囲は広そうだ。

Second Lightを実現するには、結構大がかりな機構が必要

Second Lightを実現するには、結構大がかりな機構が必要。2つのプロジェクターを使って、テーブルと紙に別々の映像を投影する。センサーにより、紙のほうの映像をタッチして操作することも可能


Xbox 360で子供にプログラミング教育 Boku

 最後の「Boku」は、Xbox 360を使って子供にプログラミングを教えるためのソフトウェアだ。Bokuというキャラクターをプログラムで動かして、目的を達成させたり、自分でゲームを作れる。この程度では驚くようなものではないのだが、すごいのはプログラミングの仕組みと操作。メニュー画面から、動作やセンサー情報、対象物を示す小さなパネルを組み合わせる。すべての操作がXBox 360のコントローラーでできるのだ。

Bokuのプログラミングは、小さなパネルを組み合わせて行なう

Bokuのプログラミングは、小さなパネルを組み合わせて行なう

 プログラムはページ単位に分かれていて、ページを切り替えることで、同じ条件に対して違う行動を取らせることができる。複雑なプログラミング言語を理解することなく、子供でも簡単にプログラムを組めるわけだ。

パネルはリングメニューからコントローラーで選択する

パネルはリングメニューからコントローラーで選択する

 Bokuのキャラクターだけでなく、ほかのキャラクターの動きなどもプログラムできる。たとえば主人公(これがBoku)を見つけるとミサイルを撃ってくるキャラクターを作っておき、主人公が雲に近づいたときに、このキャラクターを生成させるといったこともできるようだ。

 これだけでもミッション達成形のゲームとして面白そうだが、これでゲームやプログラム作って遊び、それを公開するまでできそうな感じだ。

 ちなみに、画面左上にはXboxコントローラーのボタンに割り当てられた操作が常に表示されており、コンピューターを操作する方法としても興味深い。ちょっとした作業がコントローラーでできるようになると、子供向けにはいいかもしれない。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン