ショッピングからCADまで、
マルチタッチの応用拡大に注力するマイクロソフト
興味深いのは、Windows 7のマルチタッチ機能を使ったアプリケーションを開発している例として登場したのが、「Tesco」というスーパーマーケットチェーンであるところだ。Tescoは英国を中心として、世界中に拠点を持っている。
今回デモで披露されたアプリケーションでは、マルチタッチの機能を十分に活かしている。例えば表示された商品を、画面にある会員カード上に指で運ぶだけで購入できる。また商品の写真を見るときも、指で自由な角度に回して、商品を確認することが可能だ。
面白かったのは、特定の商品を購入したいときには、ウェブカメラに向かって商品についているバーコードを読み取らせると、自動的にその商品をアプリケーションが把握できるところだ。ユーザーはナビゲーションで戸惑うことなく、決まった商品をすぐに買える。
Tescoのアプリケーションはネットからさまざまなデータを取り込んでくる。ある意味では、マイクロソフトが進めている「Software+Services」の典型例と言える。
今回のPDCでは、マルチタッチのデモの多くで米ヒューレット・パッカード社の「TouchSmart PC」(関連記事)が使用されていた。マイクロソフトは多くのパソコンメーカーがタッチ機能を持つパソコンを販売してくれるよう、積極的にプロモーションをしている。開発者に対しても、マルチタッチ機能をサポートしたアプリケーションを開発してもらえるようにAPIを提供したり、.Net Frameworkからマルチタッチ機能が扱えるようにしている。
マルチタッチ機能はパソコンの新しい形を生み出す可能性がある。しかしそれも、どれだけマルチタッチ機能をサポートしたアプリケーションが登場して、エンドユーザーが便利と思えるものになるかが鍵となるだろう。市販されるデスクトップパソコン用の液晶ディスプレーやノートパソコンのほとんどに、タッチセンサーが搭載されるくらいになれば、マルチタッチを使ったアプリケーションも増えてくるだろう。しかし、タッチセンサー付きパソコンが一般的という状況にならないと、タブレットPCの二の舞になりかねない。当面は、Windows 7で機能を投入してみて、市場の反応を見ようという段階だろう。
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