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山谷剛史の「中国IT小話」 第35回

中国では松下のままの「Panasonic」

2008年11月11日 09時00分更新

文● 山谷剛史

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中国におけるパナソニック

 ところでパナソニックは中国においても、テレビ、オーディオ、デジカメ、ノートPCなど、日本とほぼ同様の製品ラインナップで国内市場を開拓しているが、中国でパナソニックといえばまず思いつく製品は何なのだろう。

とある中国の家電店

とある中国の家電店の外観。看板には北京五輪に協賛する「Panasonic(パナソニック)」の文字も見える

 中国人の皮膚感覚で言えば、まず「白物家電」。次に「テレビ」。そして、知る人ぞ知る「デジカメ」。意外にもどマイナーなのが「Let'snote」となる。

 白物家電については、今でこそハイアール(中国の大手家電メーカー)などが躍進しているが、中国人はできるだけいいものを買って長く使おうとするので、十数年前に購入したという松下の冷蔵庫や洗濯機がいまだに現役で中国人消費者の家で見かけることもあるから。

 テレビは、大型家電量販店で今や当たり前のように液晶テレビやプラズマテレビが売られているが、パナソニックの製品は沿岸部内陸部の都市を問わず、よく店頭に置かれていることから。

 デジカメは、「手ブレ防止機能」のブームが中国では静かに起きていたため、あまりLUMIXの特徴というか、アイデンティティーが中国の消費者に伝わっていないような気がする。

 Let'snoteについては、そもそもパナソニックが中国では日本のように本腰を入れて売ろうという姿勢がまったく見られないし、加えて中国ではタフでバッテリーが長持ちというノートPCに対するニーズがまだ存在していない。

店内のAV機器コーナー

しかし、家電店の店内でAV機器のコーナーを見てもパナソニックの文字は見つけられない

 もっとダイレクトに言ってしまえば、パナソニックは白物家電以外ではソニーの陰に隠れてしまっているという印象すら受けるのだ。補足すると、これはパナソニックの努力不足というわけではなく、ブランドとしてのソニーが中国では確固たるものとなっているのが大きな理由だ。

白物家電のコーナー

同じく家電店内の白物家電のコーナー。こちらもパナソニックの文字はない

 具体例を挙げてみよう。中国最大のIT系サイト「大平洋電脳」とそれに続く「中関村在線」がそれぞれ行なった、自サイト利用者に対しての月例注目度最新調査の結果によれば、デジカメが両サイトで「キヤノン」「ソニー」「ニコン」「富士フイルム」に続く5位(大平洋電脳で6.05%、中関村在線で6.2%)。ノートPCでは両サイトともに10位以下の「その他」になる。

 一方、中関村在線が行なった白物家電に関する同様の調査では、洗濯機が中国企業やドイツの「シーメンス」に続く4位(8.8%)、エアコンではハイアールを始めとした中国企業や「三菱電機」「ダイキン」などに続く7位(2.3%)、冷蔵庫は同じく中国企業に加えて「シーメンス」「サムスン」「LG」などに続く8位(3.4%)となった。

 日本よりも地味な印象がある中国のパナソニック。他国とは一線を画して松下のまま行くのであれば、中国では一見大きな変化がすぐに訪れることはないだろう。

 だが、「世界全体でのパナソニック化」で今までと違った製品が中国国内にもリリースされ、それが所有欲を満たす製品であれば、中国にもパナソニックブランド認知への変化の波が訪れることだろう。

山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)


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