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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第11回

テキストメモ専用機「ポメラ」は使える道具か?

2008年10月31日 09時00分更新

文● 西田 宗千佳

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内蔵容量は「KB」単位
編集はシンプルで「メモ帳」レベル

 単機能であるがゆえに、やはり気になるのは「編集機能」と「文字入力」の快適さだろう。結論を先に言えば、「快適だが機能はシンプルすぎる」というところだろうか。

ポメラの「編集」メニュー

ポメラの「編集」メニュー。機能面ではWindowsの「メモ帳」並みのシンプルさ

 技術的な詳細は未公表であるが、どうやらポメラは、現在のPCや組み込み機器の水準から言っても、相当シンプルなハードウェア構成で動作しているようだ。内蔵の主記憶用メモリーは、たったの128KBしかない。MBですらなく「KB」だ。そのためか、内蔵メモリーで扱える文書量は、「1文書8000文字以内×6文書まで」となっている。

 ただし、ファイル形式はごく普通の.txtであり、文字エンコードも一般的なシフトJIS。PCとUSBケーブルでつなぐと、USBマスストレージ形式で認識できるほか、内蔵のmicroSDカードスロットを使い、文書をやりとりすることもできる。microSDに直接文書を保存した場合、「1文書8000文字」という制限は変わらないものの、保存できる文書数の制限はない。なお、内蔵メモリーの場合にも、1ファイルが8000文字(16KB)以下ならば、ファイル数には制限はない。要は「内蔵メモリーが128KBで、1ファイルが16KB以内」ということなのだろう。

本体左側面

本体左側面。左からUSB、左側足、microSDカードスロットが並ぶ

本体前面

本体前面。隙間からキーボードが見える

本体右側面

本体右側面。可動部があるのでなにもなし

 ちなみにmicroSDとはいっても、2GBを超えるSDHC規格には未対応で、2GBまでのカードしか使えない。手持ちの4GBカードを差し込んでみたが、認識しないどころか本体がハングアップしてしまった。いまや2GBのmicroSDカードさえ、大手量販店でも千数百円で売られている。ポメラでは実質「必須」の存在といってもいい。

左側面を裏側から

左側面を裏側から。写真左がmicroSDカードスロット。携帯電話機で一般的に使われるメモリーカードを流用できるのは便利

 肝心の文書編集機能は、オーソドックスな「テキストエディター」並みである。保存形式が「シフトJISエンコードのプレーンテキスト」決めうちでもあり、装飾などの機能は一切ない。

 それどころか、テキストエディターとしても、シンプルというよりは「ミニマム」といった方が適切だ。行番号表示も表示桁数の設定もできないし、正規表現を使った検索置換も行なえない。あえて言うなら、Windows付属の「メモ帳」と同レベルである。できるのは文字を入力し、シンプルに単語レベルで検索/置換を行なうことくらい、と思った方がいい。例えばアンドゥも、直前の動作ひとつだけしか取り消すことができず、今のPC感覚で「無限にさかのぼる」ことはできない。個人的には改行マークが表示できないことが気になった。

 唯一、独自の機能として用意されているのが「付箋文」という機能だ。これは、文書の区切りで「任意のテキスト/キーワード」を挿入しておき、ワンキーでそこにジャンプするものだ。要は検索機能をシンプルに使えるようにしたものなのだが、これが意外と便利である。

「付箋文」は編集中の文章に挟む「しおり」のような存在

「付箋文」は編集中の文章に挟む「しおり」のような存在。付箋文の位置に素早く移動できる

 文書内でのジャンプを楽にするという点では、行数を指定してのジャンプも用意されているのだが、付箋文にはまた別の意味もある。それは、「終了前のマーキング」という意味だ。

 ポメラ最大の欠点は、「電源を切ると、文書の編集位置が失われる」ということだ。

 ポメラにおける電源オフは、PCでいうところのスリープ/サスペンドであり、文書の保存をしなくても、(電池が続く限り)終了時の状態はそのまま保持されている。だが、文書の編集位置はなぜか記憶されておらず、再度電源を入れた時には、カーソルは必ず文頭に移動している。これはかなり面倒で、理解に苦しむ仕様である。おそらくは、なんらかの技術的制約で課せられているのだろう。

 だが付箋文を使うと、この制約はある程度解消できる。電源を切る前に付箋文を入力し、電源再投入時は「付箋文ジャンプ」をすることで、疑似的に「最後に編集していた位置」へ移動することが可能となる。

 付箋文の入力は「F1」に、付箋文ジャンプは「F5」に割り当てられている。こうなっている理由は、まさに開発側が「本を閉じる前に付箋をつける」ように使ってもらいたい、と考えているためだろう。

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