26日午後、CAFFE SOLARE(カフェソラーレ)LinuxCafe秋葉原にて、NVIDIAが主催するイベント「NVIDIA GeForce Graphics+」が開催された。
このイベントは、NVIDIAが近年力を入れている、GPUを3Dグラフィックス以外の演算処理に利用する「GPUコンピューティング」と、ソフトウェア開発プラットフォーム「CUDA」(関連記事1)の具体例を、エンドユーザーに分かりやすく紹介するためのもの。オープン後には会場がたちまち満員になるほどで、自作派ユーザーの注目度の高さがうかがえた。
イベントでは、NVIDIAやCUDA対応ソフトウェアの開発会社などによる解説とデモが披露されたほか、対応ソフトやデモの展示が行なわれた。また、エンドユーザーではまず滅多にお目にかかれない、GPU搭載の並列演算カード「Tesla C1060 コンピューティングプロセッサ」(関連記事2)を3基搭載したデスクトップスパコンのデモ機も披露され、注目を集めていた。
また、間もなく製品が登場予定のGPU内蔵チップセット「GeForce 9400」「GeForce 9300」を搭載したマザーボードの展示とデモも行なわれた。
オープニングイベントでは、NVIDIAの福田 登氏により、CUDAのコンセプトと実例についての解説とデモが披露された。さすがにこのイベントに来る来場者は、CUDAの名前くらいは知っている人が多いようだ。しかし、その実用例となると、対応ソフトウェアが登場し始めたばかりということもあり、目にする機会がない。来場者も興味津々という様子で、熱心に福田氏の解説を耳にしていた。
福田氏の解説は、CUDAの主な応用分野を挙げたうえで、ビデオトランスコードや高画質化、物理演算ライブラリー「Physx」をGPU上で動かすデモなどで、その実例を示す形で行なわれた。
例えばビデオトランスコードの場合、先頃米国で発売されたばかりのiPod向けビデオトランスコードソフト「badaboom」を、エルザジャパンのGeForce GTX 280搭載カード上で実行してみせた。HD品質のビデオファイルを、iPod用のMPEG-4に変換する処理が行なわれたが、1秒あたり250フレームを超えるほどの速度で変換してみせ、CPUのみで同様の処理を行なったCore 2 Quad 9650(3GHz)に対して、数倍の速度差を見せつけた。
GPUによるエンコード/トランスコードの利点としては、CPUのみによるエンコードと違ってCPU負荷が低いので、エンコードしながらでもほかの作業を快適に行なえる、という点も挙げられた。これは確かに、実用的でありがたい利点と言える。
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