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国内向けテレビは国内生産で

「BRAVIA」の強味はソニー稲沢テック

2008年10月24日 12時00分更新

文● 大河原克行

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ソニーの国内向け薄型テレビ「BRAVIA」を生産する稲沢テック。回路基板開発からの一貫生産が、ソニーの高画質・高画像につながっている。

ソニー稲沢テック

上空から見たソニー稲沢テック(写真提供:ソニー)

 愛知県稲沢市にある「ソニー稲沢テック」は、'69年にブラウン管「トリニトロン」の量産工場として操業。その後、ブラウン管テレビの生産終息にともない、2005年から液晶テレビ「BRAVIA」の生産工場へと転換。世界初の有機ELテレビもここで生産されており、常にソニーのテレビ事業の基幹拠点としての役割を果たしている。

 一般的に、国内のテレビ生産といえば、液晶パネルの生産からテレビの組立までを行うシャープの亀山工場が思い浮かぶ。また、尼崎工場でプラズマディスプレイパネルを生産し、茨木工場でテレビを組み立てるパナソニックも有名だ。それに比べ、ソニーの場合、パネルを韓国サムスン電子との合弁会社であるS-LCD(韓国)で生産しているため、国内生産という印象は薄い。

 だがS-LCDでは、ソニー向けパネルは、サムソン向けとは別の独自ラインで生産。そして、テレビの画質を左右する画像処理回路基板は稲沢テックで開発製造している

 ソニー社内では、稲沢テックを「テレビ事業グループにおけるGobal Solution Hub」と位置づけ、ここを中心拠点として、全世界のソニー液晶テレビの生産が推進されている。

稲沢産だからこそのお墨付き

 ソニーは、あえて「稲沢産」という言い方は避けている。しかし、テレビの心臓部ともいえる回路基板の開発、生産を担う拠点となっていることや、テレビの最終組立を行っていること。さらに、同拠点ならではの厳しい検査基準を経て出荷されることを考えると、日本向け液晶テレビに関しては、稲沢産の呼称は決して間違いではないだろう。

 現在、稲沢テックでは、約35本の基板実装ラインと、約20本のテレビ組立ラインが稼働し、厳しい検査のもとで生産が続けられている。ソニーの液晶テレビの高画質は、稲沢で生産されているからこそ、実現されるものだと言っていい。

本記事は月刊ビジネスアスキー 2008年12月号から抜粋・再編集したものです。

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