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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第36回

「アキバの現実」報道する「アキバBlog」の現在

2008年10月27日 09時00分更新

文● 古田雄介

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「秋葉原で見たことを書く」それがブログのテーマ

── では、記事についての言及を。アキバBlogといえば萌えやオタクというイメージが強いですが、大ヒットする記事は歩行者天国での出来事だったり、店の火事だったりと、意外とオタクとは関係ないですよね。そこに違和感はありますか?

geek そういうイメージはありますよね。でも、事件関連の記事になると、読む層が一気に広がるから、アクセス数も伸びると思います。オタク文化に興味がなくても「ホコ天のケツ出し女」だったり「通り魔殺人事件」のニュース記事は読むじゃないですか。そういうことだと思うので、違和感は感じていません。

2008年3月17日に掲載した「自称セクシーアイドル ホコ天で股を開き、ケツ見せ/秋葉原」の記事


──  おっしゃるとおり、連続殺傷事件についても書いていますよね。あれは普段のアキバとはかけ離れた事件で、正直、アキバ関連媒体でも報じにくい雰囲気がありました。geekさんは躊躇とか迷いはなかったですか?

geek さすがに生々しい雰囲気を伝える気にはなりませんでしたが、報じること自体への躊躇はありませんでしたね。僕のブログのテーマは「秋葉原で見たことを書く」ですから。

 PCパーツ関連の記事は企業の大手サイトに絶対勝てないので、それだけは避けてきた部分はあります。しかし、それ以外に関しては、秋葉原で見たことをそのまま書くと決めています。

 それで今のところ街を特徴づけている「オタク産業」や、メイドさんなりコスプレなりイベントなりといった記事が自然と多くなるわけです。アキバBlogを始めた2004年から、しばらくの間はオタク産業を中心に扱うアキバ系サイトがあまりなかったというのも大きいですが。

2008年6月9日掲載の「秋葉原通り魔事件発生現場の様子」。当時の状況を写真と文章で淡々と報じている


── なるほど……そういえば、アキバBlogの記事は引用や事実の記載が中心で、geekさん個人の感想や意見はまず見られません。これは意図的にやっているんですか?

geek 別に僕個人を売り出す必要はないなあと思っているんですよ。それに、「秋葉原で見たことを書く」がコンセプトですから、僕の感想や意見はそれほど必要ないんじゃないかと。

 あと、店員さんに聞いて「アレが売れています」と言われたとしても、「売れ行き絶好調!」とかは書きにくいんですよね。たいていの場合は「売れてるみたい」ってなっちゃいます。店員さんがこう言っていたよは書きますけど。

 それと、一人でたくさんのお店を回らないといけないということもあって、取材中に店員さんと話をすることはあまりありません。10人の店員さんと各5分話すと、それで50分ですし。一人でアキバを回っているので、時間は足りないくらいです。


── それでトラブルになったりしませんか?

geek 一応、お店の中ではありませんね。ただ、記事を載せたあとに「これは載せないで」と言われたことは、ごくまれにあります。まあとにかく、読者の方が真偽を確認できるような内容にまとめたいと思っていますね。

 (次のページ: 秋葉原は「観光客向けの遊園地」になってしまったのか?)

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