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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第35回

おでん缶より絶対レア! 自販機マニア「山田屋」の叫び

2008年10月13日 09時00分更新

文● 古田雄介

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自販機の魅力は「哀愁の美」!

── 自販機サイトを始めたきっかけを教えてください。

nom 自販機に興味を持ったのは、高校時代にたまたま大量の自販機コーナーを見つけて衝撃を受けたのがきっかけでした。でも、当時はネットもなかったですし「探索して調査を発表する」までの意識はそれほどありませんでした。

 その後しばらく経って、就職したばかりの2000年前後、友人から自販機探索に誘われたんです。ウェブサイトに興味を持っていたこともあって、趣味を復活させたという流れですね。

「山田屋」管理人のnomこと野村 誠氏。取材場所近くの一般的な自販機の前で撮影させてもらった。あまり好みではない自販機を訊いてみると「おでん缶ですね」とバッサリ。「もう散々紹介されていますけど、レア度はそれほど高くないですから」とのこと


── サイト名も自販機店の「山田商店」から取ったんですよね。

nom そうなんです。調査を復活させた頃、群馬県で見かけた山田商店でもの凄い光景を見て、高校時代を超える衝撃を受けました。横一列に20~30台の自販機がズラーっと並んでいるんですよ。

 その中には古びてレトロな風合いを持ったものも多くて、カレーやハンバーガーを売る自販機もあるんです。「格好いい」とかそういう感動ではなく、ちょっと寂しげな印象でした。哀愁の美みたいなものを感じたんですよ。

 それでサイト名に頂こうと思ったのですが、なぜか「山田屋」と覚えていたので、ちょっと変形させてしまいました。


── 自販機が醸し出す哀愁というのは、やはり「無人で営業できる」という点が大きいですよね。「深夜2時でも買い物できるけど、店には誰もいない」といったような。さらにレトロな雰囲気がムードを高めるという。

nom そう、自販機が置かれている「状況」も重要なんですよ。ズラーっと並ぶものもいいですが、田んぼの中に1台だけポツンと立ってるというのもそそります。そういうシチュエーションのレア度も魅力なんですが、販売しているもの自体のレア度を重視することもあって……とにかく見所が満載なんですよ(笑)

自販機サイトがブレイクし、DVDを出すまでの人気を博した。今秋にTOエンターテインメントから「懐かしの自動販売機」がリリースされる。nom氏は監修のほか、副音声で解説も担当する

── 今まで出会った中で、ナンバーワンの自販機はどんなものですか?

nom 構造的に面白かったのはカレーの自販機ですね。きちんと盛りつけされて出てくるんですよ。ある程度の構造は理解できるんですが、実際に中を見たことはないので、かなりワクワクしますね。

 高校時代に見つけた味噌汁の自販機も捨てがたいです。カップ型コーヒーみたいな感じなんですけど、選べるのは味噌汁だけ(笑) 「何でこんなの作ったんだろう」という感じがたまらないですね。

 単純に商品だけで考えるとハンバーガーの自販機に入っていたじゃがバターも面白いですね。(ハンバーガーと比べて)じゃがバターだけ、妙に手作り感があって浮いている感じが何とも言えません。実際、自販機って売ろうと思えば何でも売れるんですよね。多く売れるかどうかは別として。

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