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山谷剛史の「中国IT小話」 第33回

日本は中国人の悪いことばかり報道する、は本当か

2008年10月10日 09時00分更新

文● 山谷剛史

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意外性がニュースを決める


 「日本のニュースは中国の悪い面ばかりを報道する」という主張には、もうひとつの側面がある。四川大地震を例にとろう。

 テレビで報道されたニュースのログは見ることは難しいが、読売なり、朝日なり、産経なり、日経なりを読めばいい。四川大地震の特集記事のバックナンバーがある。そこから筆者の会った知日派の中国人が読み取った情報は「政府(軍や地元警察など)がどれだけ助けたかも、地元の人々がどれだけ団結したかも報道されず、逆に学校がもろくて崩れたとか、学校の手抜き工事に抗議した親が捕まったとか、そういった悪い情報ばかり」とのことである。

 基本的にニュースの報道対象は「意外なこと」だ。日経平均が1日で5円動いてもトップニュースにはならないが、1日で500円動けばニュース性は高まる。

 殺人が稀有な国や地域で殺人が起きればニュースになるが、リアル北斗の拳な国や地域で1人殺害されてもニュースにはなりずらい。

地震ひとつとっても、ニュースとなるポイントは異なる

 日本人にとっては、地震が起きたとき、地元民が助け合って生き延びることは当たり前だ。軍や警察が出動して被害者の救出に向かうのも当然である。だからこそニュースにならない。逆に安全な場所であるはずの学校が崩れて、多くの被害者が出たことや、抗議してしかるべき父母が逮捕されたことにニュース性がある。

 一方中国人の立場では、普段団結しない地元住民が助け合うことや中国全土の人々が一体となって募金すること、偉い人が現地入りして励ますことは、普段ないニュースだ。だから、どうしてこれを日本のメディアは紹介しないのだ、となる。

 つまり日本人と中国人で「当たり前のこと」「意外なこと」の基準が異なるため、相手方の国のニュースを見る結果、おかしな印象を受けるのだ。

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