パートナー企業から
どんな使われ方がされるか要注目
ニューロスカイでは、すでに脳波を活用した用途開発のためにSDK(開発キット)を企業や研究機関などに販売している。
SDKには、処理モジュールを組み込んだヘッドセットや、その脳波が心身のどういう状態を表すかを分析する「アルゴリズム」と同社が呼ぶソフトウェア、脳波でコントロールするサンプルゲーム(ニューロボーイ(TM)ゲーム)などが含まれる。実は各地のデモで長蛇の列を作ったのがこのゲームで、「集中」や「リラックス」といった状態を高めることで、ゲーム内でイルカを海に戻したり、物を持ち上げたりすることができる。
これらのサンプルを体験した限りでは完成度は高く、簡単なゲームへの応用や、単なる脳波測定グッズとして販売しても、今すぐ飛びつく人は多いだろうと感じた。しかし、それをしないのには、同社の戦略もあるのだという。
ヘッドセットの応用例は、手軽なところでは、ゲームのコントローラから、自動車の運転、工業機械のコントロールまで、枚挙にいとまがない。こうした技術特性から、ニューロスカイでは、すべてを自社で手がけるのではなく、提携企業による応用製品の製品化を目指している。SDKという形で販売を行うのも、その一環だ。
SDKを購入した企業には、国内の大手の輸送機器メーカー、機械メーカーなどが含まれるという。当然、今すぐ脳波で自動車や工業機械が100%制御できるわけでもないが、ニューロスカイはそうした将来のビッグビジネスをも見据えているように思える。また、ニューロスカイは、大手企業との積極的な提携も行っている。実際、直近の海外でのショーでは、携帯電話のアプリケーションによるデモを行うなど、その可能性をうかがわせる。
今回話を聞いた丸紅も、ニューロスカイに出資し、現在は代理店としてSDK販売を手がけ、将来のライセンスビジネスとして成長させたい考えだ。
とはいえ、実際の製品化の時期も近づいている。海外では年内から来年にかけて、国内でも、2009年中には市場への応用製品の登場を期待していると大橋さんは言う。
ニューロスカイは「東京ゲームショウ2008」のビジネスデイ(一般日には展示は行われない)に出展した。さらにあのスクウェア・エニックスとテクニカル・デモンストレーションを共同開発している。これらのことから、製品はまずは玩具・ゲーム系が先行し、脳波を利用したトレーニングゲームなどが登場するのではないかと思われる。