複数ハードでの発売が基本となっている現状で
Xbox 360の取るべき道とは
――現在ゲーム業界というのは他機種で発売されたものが、同じように近いタイミングで発売される、マルチプラットフォーム戦略が多くなっていますが、こういった現状をどう思いますか?
泉水 まず、複数のプラットフォームがそれなりの規模で並存しているというのは、いままであまり例がありません。今までは1つのハードがあるタイミングでトップシェアとなり、普及の大半を占めるということを繰り返してきていました。そういう意味では、今世代はいままでと違った展開をしていると思います。
そんな状況の中、メーカー側の経営的な視点から言うと、やはり複数のプラットフォームに対して同様のコンテンツを提供することは経済的にも効率的ですし、戦略上望ましいというのは我々としても理解しています。だから現在の状況も十分に予想していましたし、また今後もこういった状況も続くと考えています。
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そういった中で我々は、Xbox 360の能力、ネットワークインフラ、提供している開発環境など、よりよい環境を提供し続け、マルチプラットフォームの中でも、差別化を加えていただけるように働きかけたいと思っているのです。
――E3で「ファイナルファンタジーXIII」が欧米ではXbox 360でも発売されると発表されましたが(関連記事)、日本でのXbox 360版「ファイナルファンタジーXIII」の必要性は感じられますか?
泉水 ずっと以前から「Xbox 360のプラットフォームにはこのタイトルが必要だ」というものがたくさんあり、それらをXbox 360のプラットフォームに載せていただくための働き掛けを続けています。その活動はこれからもずっと行なっていきますし、現時点ではいろいろと足りない部分もあると思いますが、ユーザーが求めているモノには今後も展開を働きかけていくつもりです。
――欧米での「ファイナルファンタジーXIII」の発表や、夏に発売された「テイルズ オブ ヴェスペリア」など、昨年ぐらいから良い意味で、予想外の展開が増えてきていますね。
泉水 ホントに嬉しい限りです。でも、核となっているメッセージはずっと変わっていないんです。ひとつはXbox 360を展開するときに掲げたモノである「最高の体験をユーザーのみなさんにお届けしたい」というものです。ただ、時間も進み、環境も変化し、技術も進歩しています。当然競合の機種も増えてきていますので、Xbox 360自体も進化し、常に最高のモノをお届けしないといけないと思っています。
このテーマを追いかけるうえで柱にしてきたものが「ゲームコンテンツ」や、オンラインを中心とした「ネットワークサービス」。そして「ハードウェアの進化」です。この3本柱は発売当初から変わっていません。そこで「ゲームコンテンツ」を充実させるためには当然、パートナー各社様と協力してXbox 360への展開をお手伝いしていますし、ファーストパーティのゲームも出してきています。
「ネットワークサービス」の面では、これまでいろんな進化をさせてきている中で、よりユーザーの方に楽しんでもらえる環境を提供しています。「ハードウェアの進化」では、これまでコアシステムやエリートなど、製品ラインナップを増やして、9月には大幅な価格改定も行ないました。ですからずっとやっていることは変わらないのです。
以前のキャッチフレーズでいえば、それが「do! do! do!」であり、去年は「250タイトル ドレにする?」になりました。で、今年は「すすめ ワクワク」です。その時々の状況により言葉も変わりますが、伝えたいメッセージはどれも一緒で、「最高の体験をユーザーのみなさんにお届けしたい」というものなのです。
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