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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第41回

CEATECで見つけた近未来社会のケータイ

2008年10月02日 22時30分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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エア・マルチタッチの衝撃

 続いてKDDIブースでは、BREWで開発され、すでに実機で動く未来のケータイのアイディアが面白かった。

 その1つが、カメラを使って手軽にフィジカルなインターフェースを実現する技術。加速度センサーを搭載したり、映像処理において基準点を決めることなく、ケータイを傾けるだけで、カメラからケータイ端末の動きを検知して入力作業ができるようにするものだ。

デモでは、3Dグラフィックス空間の視点を移動させるコントローラーとして活用する事例と、文字入力の事例が展示されていた。いままで操作しにくかった作業を簡単にこなす目的の他に、入力のユニバーサルデザインとしての活用も期待できる。とにかく現行機種で動いている点が、近い将来の活用が期待できる

 映像処理をインターフェースにするというキーワードでは、パナソニックブースの「ジェスチャーUI」のデモがとても興味深かった。映像処理で空間認識をし、複数の手で画面の中の映像を動かすインターフェースを作っていたのである

 iPhoneがタッチパネル上でのマルチタッチだとしたら、このデモは「エア・マルチタッチ」とでも呼ぶべきだろうか。複数の指先を検知して、写真を回したり、拡大したり、めくったりすることができるようになっている。この動作イメージは、まさに映画「マイノリティ・リポート」で見た未来のインターフェースの光景そのものだった。

デモの様子

 既存のボタンで操作するケータイや、iPhoneのようにタッチパネルや傾きセンサーで操作する端末は、どうしてもフィジカルな動作が要求される。その場合、ボタンや画面、端末の大きさに合わせて操作することが求められる。同じ理由で端末の各パーツの「ちょうどいい」大きさも決まる。

 しかし、映像処理によるインターフェースは、もっとわがままな操作方法に対応することができそうだ。ただ、あまり身振り手振りを使って喋らない日本人には、ジェスチャーの練習が必要かもしれない。グローバルに展開するなら、国や文化によって違うジェスチャーのクセも研究すべきだろう。

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