シンクライアントの気になるスペック
実は、両機種は基本的にOSが異なるだけで、ハードウェア上の違いはメモリー容量程度しかない。t5545の内蔵フラッシュメモリーとメモリーの容量はともに512MBで、独自OSを採用して価格を抑えている。Windowsのような使い勝手はないが、ブラウザーとしてFireFox3を搭載しており、ネットカフェなどに置く単独のネット端末としても使えるという。実際にネットカフェなどのニーズも増大しているそうだ。
一方、Windows XP Embeddedを採用したt5630は、通常のXPパソコンのように使える。さらにPC Session Allocation Managerという管理ツールを使って、ブレードPCを動的にユーザーに割り当てられるなど、ブレードPCと連動させても使いやすいという。また、t5630は転送データを170:1の高圧縮率で高速にエンコードする「HP Remote Graphicsソフトウェア(HP RGS)」に対応し、動画などの大容量データも高速転送できるという違いもある。なお、t5630の内蔵フラッシュメモリーとメモリーの容量はともに1GB。
両機種とも、CPUはVIA Eden(1GHz)、チップセットはVIA VX800を採用。グラフィックスコントローラーはチップセット内蔵のVIA Chrome9 HC3で、出力端子としてDVI-D端子とD-SUB端子を備え、2画面に同時出力できる。その他、PS/2×2、シリアル×1、パラレル×1、ギガビットイーサ×1、ラインイン/アウトオーディオ、USB×6ポートなどを備える。USBポートのうちの2つは、ケンジントンロックがかけられる「セキュアUSBコンパートメント」に収納されており、無線LANモジュールやUSBメモリーなどを勝手に抜かれないような形で安全に利用できる。
シンクライアントのいいところとは?
シンクライアントの長所は、サーバー側にデータの処理や保存の作業を任せるため、端末にデータを保存せずに済むことだ。また、部品点数がフルスペックのPCに比べて少ないため、安価で故障率も低い。IT管理者がサーバー側で一元管理できるのも特徴だ。セキュリティ対策やTCO削減、管理の効率化にも効果があるとされ、最近は仮想化やグリーンITとあわせて語られることも多い。
