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CEATEC JAPAN 2008 レポート 第5回

インターネットはケータイになる? ドコモが見る未来

2008年10月01日 22時54分更新

文● 小西利明/トレンド編集部

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辻村清行氏

NTTドコモ 代表取締役副社長の辻村清行氏

 アジア最大のIT・エレクトロニクス総合展示会「CEATEC JAPAN 2008」。2日目に行なわれたNTTドコモ 代表取締役副社長の辻村清行氏による講演は、「インターネットはケータイになる」という、ある意味挑戦的な発言から始まり、携帯電話の今後についてが語られた。

 講演の中から、携帯電話の将来についての話題を紹介しよう。

講演は「ブロードバンド化」「リアルとサイバーの融合」「グローバル化」の3つのテーマで行なわれた

辻村氏の講演は、「ブロードバンド化」「リアルとサイバーの融合」「グローバル化」の3つのテーマで行なわれた。今回は特に前の2つを中心にレポートする


LTEの実用化で、ケータイがシンクライアントに?

 辻村氏の述べる「インターネットのケータイ化」とは、携帯電話で生まれたアプリケーションや利用形態が、携帯以外のインターネット利用にも波及する、という意味の発言である。今まではiモードによって、インターネットサービスを携帯電話で実現することに先行して取り組んできた。それがこれからは、携帯電話の特性を活かして新たなサービスと利用形態を生み出すことで、その先を行くという決意の表明でもある。

 それを実現する基板技術のひとつが、「ブロードバンド化」として語られた、携帯電話の通信高速化だ。

固定通信と携帯電話の通信規格と速度の変遷

固定通信と携帯電話の通信規格と速度の変遷。辻村氏は、携帯電話は固定の5年遅れと表した

 辻村氏は携帯電話の高速化の歩みについて、「固定(通信)の5年遅れ」と表現する。NTTドコモの通信サービス「FOMA」は現在、通信規格として「HSDPA」(High Speed Downlink Packet Access)を用い、最高で下り7.2Mbpsの速度を実現している。2009年にはこれを、「HSPA」(High Speed Packet Access)へとアップグレードする。

 HSPAで重要な要素を辻村氏は、アップリンクの高速化にあるとした。HSPAでは下りが最高14.4Mbpsと高速化されるだけでなく、上りも5.7Mbpsへと、大幅に高速化される。HSDPAでは384kbps程度なので、15倍もの高速化になる。辻村氏はHSPAでの上り通信速度について、実効転送レートでも1~2Mbps程度は実現可能と述べる。

 さらに2010年には、「Super 3G」とも称される通信規格「LTE」(Long Term Evolution)に対応する。LTEは国内外の大手通信事業者が対応を表明している規格だが、NTTドコモは世界に先行して導入するという。

 Super 3Gの実証実験では、すでに下り250Mbps、上り50Mbpsの伝送に成功しているという。辻村氏は、この速度はあくまで条件の良い実験レベルと断わりながら、実使用時でも数十Mbpsと、現在一般的な家庭向け光回線サービス並みの速度が実現可能とした。「2年後には手のひらコンピューターが光並みになる」(辻村氏)。

実証実験では下り250Mbpsの速度を実現

Super 3Gに向けた準備の例。実証実験では下り250Mbpsの速度を実現。またドコモのコアネットワークをすべてIP化する

 HSPAやSuper 3Gによって上りの通信が高速化されることで、何が変わるのか? 辻村氏はその一例として、携帯電話の内蔵カメラを使った、動画投稿の可能性を挙げた。例えば、新宿で事故が発生し、交通渋滞が起こった場合、現場にいる人がその様子を動画で撮影して動画投稿サイトにアップロードする。すると、他の人も動画でその状況を把握できるようになる。携帯電話で動画を閲覧するだけでなく、動画撮影と投稿による新たなコミュニケーションが、上り通信の高速化によって現実的になるというわけだ。

携帯電話の静止画・動画対応の変遷

携帯電話の静止画・動画対応の変遷。LTEではビットレート8Mbps/960×540ドットの動画を伝送可能になるという

 こうした携帯電話による動画投稿とそれによるコミュニケーションを、辻村氏は「動画のピンポン」と称する。携帯電話で動画のピンポンが可能になることで、多くのユーザーがそれに参加可能になる。これこそが、PCではできない「インターネットのケータイ化だ」と辻村氏は述べた。

 また、上り下り双方が高速化されると、PCアプリケーションがウェブサービスへと移行したり、シンクライアントのようなソリューションが携帯電話にも現われるという。Super 3Gで通信が高速・低遅延化されることにより、サーバー側で端末側が行なっていた処理を肩代わりして行ない、結果を送り返すといった使い方が現実的になる。「LTEでケータイはディスプレーとして進化する」(辻村氏)。

高速化で携帯電話をシンクライアント的に使うことも可能に

Super 3Gによる高速化は、携帯電話をシンクライアント的に使うアプリケーションやソリューションを可能とする

 これが実現されると、携帯電話上では処理の困難なアプリケーションを、快適に使えるようになる。また辻村氏は、現在は端末上にある電話帳データをサーバー側で保持・管理することで、端末を買い換えてもデータはそのまま、といったことも可能になるとした。

 なお、Super 3Gの先にある次世代の「4G」通信規格について辻村氏は、「大きな投資になる。2015年以降になるのでは」と述べた。現状のFTTHを超える通信規格が、固定通信でも一般的になっていない現状を考えると、固定の5年遅れという理論からすれば妥当なところと言えようか。

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