日本ビクターとケンウッドの経営統合のために発足した共同持株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス(株)」が、世界的な株価暴落という荒波の中で船出した。
カーエレクトロニクスの新会社設立と謎の新事業
JVC・ケンウッド・ホールディングスは、ビクターとケンウッドの株式を100%保有する親会社。さらに両社のカーエレクトロニクス事業を統合した「J&Kテクノロジーズ(株)」を加えた3本柱がJVC・ケンウッドグループを担う。グループの総従業員数は約2万3000人。
特に力を注ぐのが新会社を立ち上げたカーエレクトロニクス事業で、J&Kテクノロジーズが開発・設計・調達・生産を行なう。販売・営業以外のリソースをほぼ新会社に集中することでロスをなくし、健全化を図るという。
そのほかに、「Everio」などのビデオカメラ事業、音楽CDなどのエンターテインメント事業、セキュリティーカメラや無線などの業務用システム事業をグループの牽引役と位置付け、カーエレクトロニクスを含めた4事業でグループ全体の7割の売上高になるという。
さらに同社は「第5の新事業」を推進中だ。その内容はまだ明かせないとのことだが、少しだけヒントが出た。
そのヒントとは「製品カテゴリーにとらわれない」「モバイルが絡む」「ネットワークを利用する」とのこと。さらに、AV関連で「カタ破り」な事業らしい。1年以内に製品として発表できるのではないか、としている。
液晶テレビ「EXE」はどうなるのか!?
最後に気になるのが薄型テレビを含むディスプレー事業とホームオーディオ事業だ。
ディスプレー事業は液晶テレビの売上不振などで収益が悪化していたが、国内事業の縮小や欧州向け製品の自社生産の終了など本年上期に抜本的な構造改革を実施。この結果、第3四半期には赤字から脱する見込みだという。
アメリカの経済状況が懸念材料ではあるが、コスト削減と売上げが好調な欧州・アジア市場の収益でカバーできると同社は考えているようだ。
ホームオーディオ事業については、不採算機種の絞り込みやビクター・ケンウッドの協業によるコスト削減および新機種の共同開発、AVアクセサリーの充実などを推進していくという。