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時事ニュースを読み解く “津田大介に聞け!!” 第26回

変わる著作権者の意識 本当の「創作振興」とは?

2008年09月30日 15時45分更新

文● トレンド編集部、語り●津田大介(ジャーナリスト)

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何をすれば本当の創作振興になるのか


── 両論併記で著作権分科会に中間整理を出した場合、どうなるんでしょうか?

津田 「保護期間の問題については小委員会として結論が出せませんでした」ということなので、当面は延長せずに、現状維持になると思います


── 来年、「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」は開かれないんでしょうか?

津田 文化庁の判断次第ですね。ただ、延長を望む権利者団体はこの問題について話し合うことを望んでいるでしょうし、要望次第ではテーマ設定を変えて新たな小委員会が開かれる可能性もあるとは思います。


── うがった見方をすれば、また平行線になるなら、小委員会を開く意味がないような気もします……。

津田 個人的には違う感想を持ってます。保護利用小委は長い間議論の膠着状態が続きましたが、ここ半年くらいは過去の著作物をどう利用促進するかについて具体的な話も出ていています。

 例えば、現状では著作権者が分からない古い映像作品について、出演していた一部の権利者に連絡が取れないからネットに配信できないという事例があります。こういうケースで利用したい側が一定の料金を事前もしくは事後に支払うことで「仮許諾」を行い、スムーズにネット配信が進むようにする具体的な案が中間整理に書かれました。

 多くの権利者は今までネット配信に対してガチガチに警戒していましたが、そういう人たちの中からもネットに流しやすくしようという声が出てきて、それなりの合意に至った。それだけでもこの委員会を開いた意義があったと思います。

 ここ数回の会合は「このままいってもどうやら延長できそうにない」というタイムリミットが迫ったこともあり、「保護期間だけ議論するのではなく、何をすれば本当にクリエーターの創作振興になるのか、総合的に議論していこう」という前向きなムードも出てきてます。そういう意味でも小委員会を開いた意味は大きかったのではないでしょうか。

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