リポート:メディアアート展「岐阜おおがきビエンナーレ2008」
デジタルと街をミックスさせたアートな世界
2008年09月26日 19時07分更新
文● MacPeople編集部
「岐阜おおがきビエンナーレ2008」は、大垣市の繁華街を利用したメディアアートイベント
9月19日~28日までの9日間、岐阜県大垣市でアートやテクノロジー、コミュニケーションなどをテーマにしたメディアアート展「岐阜おおがきビエンナーレ2008」が開催されている。イベントの舵取りは、IAMAS(情報科学芸術大学院大学/岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)が担当し、3回目となる今回のビエンナーレは大垣市という場所を生かした企画が目立った。
今回のビエンナーレのテーマは「流れる」。大垣市は水の街として知られており、市内には大小15本の河川が流れている。ちなみに松尾芭蕉が記した「奥の細道」の結びの土地でもある。自然の河川の流れ、人の流れ、情報の流れを集約して今回のテーマになったという。
大垣市は大小さまざまな河川がある水の町だ。ポスターやポップのデザインも大垣市の川の流れをモチーフとしている
イベントでは、大垣市の繁華街にある建物をそのまま利用したものが多く、作品は「大垣ふうけい論」として市内を点在していた。繁華街を歩いていると突然作品が飛び込んでくるようなイメージだ。しかも見終わったあとに街の風景を見上げると、作品と街の境界線がとても曖昧になる不思議な感覚を体感できる。最初に「大垣ふうけい論」からいくつかピックアップしよう。
シミョン・レイモンド「浮き上がる模様」。「光景の知覚」「時間の知覚」をテーマにしたインスタレーション。大垣駅前の地下道を利用した作品。プロジェクターでオブジェにスポットライトを照らし、すでに存在する空間に新たな空気と体験を与えている
内藤絹子「祈りの言葉 2008.9 岐阜県大垣市」。空きテナントを使ったインスタレーション作品で、黒のペンキが風で流れているようななイメージだ。メイキング映像も展示していた
萩原健一「SUGATAMI」。ストリートダンサーの動画ポートレート作品。深夜のビルで練習を繰り返すダンサーを鏡越しの視点で数カ月撮影。モニターには異なる時間軸で同じダンサーが交代で登場する。展示はデパートのショーウィンドウーをそのまま利用している
梅田哲也「かざな」。使われていなビル一棟をそのまま作品の展示空間にしたインスタレーション。空き部屋にさまざまなオブジェクトを配置し、建物本来の目的を見失った不思議な空間を作り上げている
続いてよりデジタル色の強い作品をリポートする。
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