サクサク動く処理能力
全体の挙動はじつにキビキビとしており、使っていて気持ちがいい。試しに付属ソフトなど30本を起動し、同時にIEのウィンドウを30枚開いてみたが、CPU使用率は常時30%程度できわめて安定している。ウィンドウの切り替えなども実にスムーズだ。1世代前のUMPCではコマ落ちがひどくてまともに観られなかった「YouTube」や「ニコニコ動画」なども快適に視聴できる。
ただし、ソフトやウィンドウを複数開いた状態で、Google Earthのような重たいソフトを動かすと、まれにメモリー不足の警告が表示されることがある。その場合はソフトもしくはIEのウィンドウのどちらかを半数の15個程度に減らせば問題なく使えた。いずれにせよ実用上は十分な処理能力と言えるだろう。
3つの不満点
NetBookとしてはおおむね合格だが、実際に買うとなると不満がないわけではない。それが以下の3点だ。
- 1024×600ドットのディスプレー解像度
- 8GBしかないストレージ容量
- 5段キーボードがゆえの変則配列
いずれも根本的解決は難しいが、効果的な対処療法はある。
液晶解像度の低さは、タッチパッドの「上下左右スクロール」で補える。この機能を使えば見たい場所をすばやく探し出せるので、例えばウェブページ全体を見渡せなくてもさほどストレスは感じない。
本体のストレージ容量を増やすことにこだわるのであれば、BTOで16GBのSSD(4200円追加)を選択するか、あるいは思い切って上位モデルの「プラチナパッケージ」(実売価格6万5000円前後)を購入するかだ。Inspiron Mini自体はSSD交換に対応しているが、残念ながら現時点では、Inspiron Miniに対応した市販の大容量SSDが存在しない。
無料のオンラインストレージを活用するという手もある。以下のサービスを全部利用すれば計14GBにもなる。
オススメは、マルチプラットフォーム対応で使い勝手のいい「Dropbox」だ。
英語キーボードを選ぶのも手
Inspiron Miniのキーボードは、ほかのNetBookより1段少ない5段配列になっている。そのため、通常は最上段にあるはずのファンクションキー(F1~F10)が3段目の(A~+)キーに割り当てられている。普段F7でカタカナ変換をしている場合などはかなり不便になる。また、右に行くにつれて、キーピッチが狭くなるのも気になるところだ。
これらの問題は、BTOで選択可能な英語キーボード(追加料金なし)や、オンラインソフトによるキーの入れ替えで対処できる。英語キーボードを選択するとキーの個数が減るので、そのぶん個々のキーサイズは大きくなる。日本語キーボードでは右端から3番目に配置されている右Shiftキーが、キーボードの右端に移動し、全体に打ちやすくもなる。ファンクションキー問題については、フリーソフトの「KeySwap」などを使い、普段自分があまり使わないキーと入れ替えてしまえばいい。
総合力ではトップクラス
デザインがよくて、持ち運びやすくて、スタミナがあって、キビキビ動くInspiron Mini。そのままでもNetBookとしてじゅうぶん通用するが、ちょっと工夫すればモバイルノートとしても割とまともに使える。数あるNetBookの中でも「携帯性」をはじめとする「総合力」の高い機種を求めている人にオススメだ。