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塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 最終回

塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”

公開の価値

2008年11月02日 15時00分更新

文● 塩澤一洋 イラスト●たかぎ*のぶこ

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 実際、著作権法は「著作者の権利」の中でも最初に「公表権」を規定している(18条)。自分の著作物を公開するか否かを決める自由を保障しているのだ。そのあとに続く氏名表示権や同一性保持権は、作品を公開する作者が受けるべき正当な評価を確保するためのものだ。

 ヒトは、自分の思いを他人に伝えたい動物である。自分の感情や考えを誰かに伝えるために、声を発し、言葉を紡ぎ、歌を歌い、絵を描き、モノを作る。内なる気持ちを表現するのだ。それを、特定の人に伝えたい場合もあるし、多くの人に届けたいときもある。より多くの人に伝えたいと望めば、自分の表現を筆記や録音によって記録し、本やCDとして流通させたり、放送したり、いろいろな手段がある。

 さらに、インターネットが発達した今日、公開は格段に容易になった。自分の文章表現をブログに記述したり、ウェブサイトに写真や映像を掲載したり、コンピュータープログラムを配布したり──。アップロードして公開すれば瞬時に、世界中からアクセス可能になる。いつでも世界を相手に公開できるのだ。

 公開しただけ見てもらえるわけではないが、より積極的に「見られる」ための工夫もできる。トラックバック、SEO(検索エンジン最適化)、タギング(個々の情報に検索用のキーワードを付加すること)はその一例だ。

 加えて、著作物をウェブに公開することによって金銭的見返りを得ることもできるようになった。アフィリエイト広告による収入だ。著作物そのものは無償で公開し、作品の閲覧以外のところから収入を得る。英国の美術館さながらの仕組みだ。

 また、iTunes Storeに代表される大規模な著作物販売も可能になった。その市場規模に比べたら、システム全体のコストは極めて小さい。そのぶん、同じ著作物でも安価に販売できるから、消費者は著作物を買いやすい。販売する側も、どれがいくつ売れたか正確に集計できるから、著作者や製作者が正当な対価を得られる。


(次ページに続く)

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