保証付きで自作サーバーより安く
「サーバーはほしいけど予算がない」という場合、以前は秋葉原でパーツを買ってきてサーバーを作るといったこともあった。だがメーカー製のサーバーがここまで低価格になったことで、特にビジネス用途では自作サーバーを使う理由はない。
昔の自作サーバー時代を懐かしく思い出し、試しにML115や110Geに使われているパーツを個別に購入するといくらぐらいになるのか概算してみた。価格は、秋葉原や通販ショップを参考にしている。すると、パーツ単位で購入して110GeやML115 相当のPCを作るほうが高くついてしまうことがわかる。
メーカー製低価格サーバーと同等のサーバーを組むのに必要な費用 | |
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CPU(Celeron 430) | 4300円 |
メモリ(ECC DDR2 SDRAM 512MB) | 2500円 |
マザーボード | 1万円 |
HDD(80GB) | 4000円 |
ケース | 1万円 |
光学ドライブ | 5000円 |
合計 | 3万5800円 |
表の参考価格は最安ではないし、メーカーで購入するときにオプションでメモリーやHDDを追加購入すると、合計金額では自作のほうが多少安くなるかもしれない。しかし、メーカー製のサーバーには、自作サーバーにはない「保証」がある。
110Geは、3年間の標準保証が提供され、最初の1年間は無償で出張修理、パーツの代金も3年間無償(消耗品を除く)となっている。一方ML115は、標準で部品保証期間とオンサイトの作業提供期間が1年となっており、必要に応じて有償で保証期間をアップグレードできる。
出張修理に人員を派遣するのに必要なコストは、そんなに安くはないはずだ。1万円台で販売するサーバーに何度も出張修理をしているようでは、ビジネスとして成り立たない。手厚い保証期間は、高い信頼性の裏付けともいえる。
スモールスタートに適した低価格サーバー
ML115も110Geも、HPやNECのブランドを付けた製品として販売されている以上、「安かろう悪かろう」ということは考えにくい。品質に手を抜くことのリスクを、両社とも知っているはずだ。
ML115や110Geは、いわゆる「IAサーバー」と呼ばれる製品だ。IAサーバーはパソコンと共通のアーキテクチャーを採用し、家庭用やビジネス向けクライアントとして大量に製造されるパソコンと共通の部品を利用できるため、スケールメリットを活かしてコストを下げられる。ある意味、IAサーバーはコモディティー(日用品)化しており、性能面では差を付けにくいために価格競争に直面しているのだが、一方で、信頼性という数字では表わしにくい指標が重要になってくる。
日本は諸外国と比較して、企業があまりIT投資に積極的でないと言われている。特にSMB(Small and Medium Business)の範疇に入る中小企業ではその傾向が顕著だ。メーカー各社では少しでもSMB市場を拡大するため、最初の投資額をなるべく小さく始められるように工夫をこらしている。低価格サーバーの投入も戦略の一環というわけだ。
まずは最小限の台数で導入し、有用性を実感してもらう。サーバーの必要性が理解されれば、より大規模なシステムの導入につながる。低価格サーバーは大規模なシステム導入への足がかりなのだ。将来、企業が大規模なシステムを導入する際は、きっと購入実績があって、ブランドを信頼できると感じているメーカーの製品を選択するに違いない。だからこそ最初の1台であっても、信頼性をおろそかにはできないのだ。
日本HPの昭島工場では、大量のML115が上位製品と同じ工程を経て組み立てられ、テストを受けている。同様にNECの110Geも上位機種と同じレベルのテストや検査を受けており、信頼性は高い。
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